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さくらインターネット、国内勢で初めて政府クラウドの提供事業者に認定

さくらインターネットは、日本最大規模の大容量・高速の通信回線を保有し、高度なセキュリティと堅牢な設備環境を備えたデータセンターを自社で運営するインターネットサービス事業者です。

 

同社が提供するIaaS型クラウドの「さくらのクラウド」が、2023年11月にデジタル庁が募集した「ガバメントクラウド整備のためのクラウドサービス」に認定されました。従来はAWS、Microsoft Azure、Google Cloud、Oracle Cloud Infrastructureという外資系事業者のみだったので、国産事業者としては初めての認定となります。また本認定は、2025年度末までに技術要件をすべて満たすことを前提とした条件付きです。

 

要件を満たすには、クラウドの機能を短期間で大幅に向上させる必要があり、高度なソフトウェアを開発できる優秀なIT人材の獲得がカギとなります。同社は補助金を主にIT人材の確保に充てる見通しで、2024年度に最大200人の人材を採用する方針です。データの保管や暗号化などの技術開発を加速します。

 

生成AI向けクラウドサービスを提供開始

 

またさくらインターネットは、政府クラウドの提供事業者に認定されたのを機に生成AI(人工知能)を活用する大企業の需要を開拓しています。

 

AIに関わるコンピューティングリソースを安定供給確保することは、日本のデジタル社会を発展させるために必要不可欠であるとして、生成AI向けクラウドサービス「高火力」の開発を決定。

 

「NVIDIA H100 Tensor コア GPU」を搭載した、生成AI向けクラウドサービス「高火力」の第一弾として、ベアメタルシリーズ「高火力 PHY(ファイ)」を2024年1月31日(水)より提供を開始。3年間で130億円規模の投資を行うことも決定しており、引き続きサービスを拡大する予定です。

 

今回提供を開始した「高火力 PHY」は、「NVIDIA H100 Tensor コア GPU」をサーバー1台当たり8基搭載し、サーバー間の通信を200GbE×4本の回線で行うことが可能であるなど、大規模言語モデルなどの生成AIを中心とした利用を想定した仕様となっているそうです。また本サービスは、再生可能エネルギー電源100%で同社が運営する石狩データセンターでの提供を予定。これによりCO2排出量ゼロを実現しながら生成AIを開発することができるとしています。

 

業界から注目を集めるさくらインターネット

 

長らく外資系のみだった政府クラウドの事業者に選定されたことで注目を集めるさくらインターネット。田中邦裕社長は、「2025年度末までに機能を充足させる計画を提出し、それを完遂させる覚悟を持って取り組みます」とコメントしており、並々ならぬ決意が感じられます。同社の今後の展開に期待が高まります。

TOPICS & NEWS

2024.02.22

世界大手企業、日本でのデータセンター投資を加速

この年末年始に、Amazon、Google世界大手二社からデータセンターに関して、大きな発表がありましたので紹介します。

Amazonデータセンター事業日本に2兆円投資

クラウドサービス世界最大手の米Amazon・ウェブ・サービス(AWS)は、1月、2023〜27年の5年で日本に約2.3兆円を投資すると発表しました。クラウドの基幹設備であるデータセンターの増設や運営体制強化に充てるとのこと。生成AI(人工知能)の普及などに伴うデータ処理量の爆発的な増加を見越して投資を加速します。

AWS日本法人は19日に都内で記者会見を開いて投資方針を説明しました。日本で顧客のデータを処理・保管しているデータセンターの設備投資や運用費の総額は2011年から22年の12年間の累計が1兆5100億円でした。23年から27年までの5年間では2兆2600億円を投じる予定とのこと。

成長市場であるインド向けの30年までの投資計画(1兆560億ルピー、約1兆9000億円)を超える巨額投資となり、日本市場重視の姿勢を鮮明にしました。

会見でAWS日本法人の長崎忠雄社長は「日本の顧客のデータ利活用を支え、様々な経済波及効果を生み出し、日本の成長に貢献する」と語りました。

 

Googleのグループ企業産業団地「コスモパーク加太」にデータセンター建設

 

和歌山市の産業団地「コスモパーク加太」は、関西国際空港の建設の際に埋め立て用の土砂を採取した跡地に整備された252ヘクタールに及ぶ産業団地です。

和歌山県の土地開発公社が開発を進めたものの経済情勢の悪化によって、計画はすぐに頓挫し、一部の土地を県が借り上げ産業団地として企業誘致を進めましたが、87ヘクタールは売れ残り長年の課題となっています。

こうした中、この土地のおよそ4割余りにあたる37ヘクタール余りが、アメリカのIT大手Googleのグループ企業で、東京に本社がある「Ase合同会社」に売却されることになりました。

土地の売却額はあわせて59億4000万円だということです。

また、和歌山県によりますと、データの処理の高速化や安定性を高める「データセンター」が建設される方針だということですが、事業計画の詳細は明らかにされていません。

今後、土地の売却に向け契約の手続きを進めるとしています。

 

まとめ

 

生成AI向けクラウド需要急増をにらみ、米Microsoftも日本のデータセンター投資を急いでいます。マイクロソフトは昨年2月に西日本で複数のデータセンターを稼働させました。Googleも日本初のデータセンターを千葉県印西市に建設して昨年3月から稼働しています。

また地方での展開もいよいよ加速していくことが予想されますので、今後も動向をお伝えして参ります。

TOPICS & NEWS

2024.02.06

アルテリア・ネットワークス株式会社と株式会社アット東京が、日本初東京港を横断する通信用光ファイバーケーブル敷設を決定

2023年12月、アルテリア・ネットワークス株式会社は、株式会社アット東京と通信ケーブル設備の敷設および利用に関する協定を締結し、多くのIT企業が集積する豊洲・有明エリアと芝浦・品川エリア間に、日本で初めて東京港を横断する通信用光ファイバーケーブルの敷設を決定しました。

この決定の背景に何があるのでしょうか。

 

通信用光ファイバーケーブル敷設の背景

 

昨今の働き方改革や動画配信等のリッチコンテンツの隆盛、DXやAI、IoTの普及などにより、通信トラフィックは急増し続けており、膨大なデータが集積するデータセンターの根幹の根幹を支える光通信設備の増強が急務となっていることが背景にあります。また、社会インフラである通信ネットワークは、いかなる状況においても断線することが許されません。

このような社会的な需要に応えるため、東京港を横断する通信用光ファイバーケーブルの敷設を決定。島部に位置するデータセンターから橋梁を通さないルートを確保しました。また、環境保全にも配慮した弧状推進工法を用いていることも特徴です。

アット東京は、2024年7月を目標に既存データセンターに並ぶネットワーク接続拠点として芝浦・品川エリアに中央第3センターの新設を進めており、日本のみならずアジア・世界の主要な金融事業者やコンテンツプロバイダー、通信事業者らが集結する東京の情報インフラを支える立場で貢献していくとしています。

アルテリア・ネットワークは通信インフラの立場から、IT企業が集積する豊洲・有明エリアとアット東京が提供する芝浦・品川エリアのデータセンター間を最短経路で大容量かつ低遅延なケーブルルートで結び、柔軟かつ多様な通信サービスで先端技術産業や国際金融都市としての東京を支えていくとしています。

 

東京港横断ルートで周辺のデータセンターと接続する理由

 

今回の通信用光ファイバーケーブルの敷設では、豊洲・有明エリアと芝浦・品川エリアを陸路と海路の冗長ルートで接続することで、さらに可用性の高いネットワークインフラを利用できるとのこと。

既存の陸路のケーブルルートだけでは災害時の浸水や液状化のリスクがあり、有事の際にネットワークが寸断される可能性があります。東京港横断通信用光ファイバーケーブルはHDD工法を用いて一気通貫の地中管路で東京港を横断するため、高耐性な海底地中エリアを船のアンカー等によるケーブルの損傷を防ぎながら、陸路との異ルートを確保した高速大容量通信を担保することができるとしています。

 

データセンター事業に対する、アルテリア・ネットワークの戦略的取り組み

 

千葉県印西エリアは地盤の強固さ、東京および成田とのアクセス性の高さに加えて、茨城県県北および千葉県南房総の海底ケーブル陸揚局との接続性も高いことから、データセンター運用に好適とされてきました。
2021年、アルテリア・ネットワークは、MCデジタル・リアルティ株式会社が千葉県印西エリアで建設中の新データセンター「NRT10」において、最大100Gbpsの専用線設備を設置すると発表。今回の東京港を横断する通信用光ファイバーケーブルの敷設は、アルテリア・ネットワークが以前から取り組んできた戦略に裏付けられたものだといえ、今後も更に推進していくと期待されます。

TOPICS & NEWS

2024.02.01