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エヌビディア決算、大幅な増収増益で好業績

エヌビディアが2月21日、2024年1月期決算を発表しました。通期での売上高は609億ドル(前年比126%増)、営業利益は330億ドル(同7.8倍)でした。

 

第4四半期(11月〜1月)の売上高は221億ドル(前年比265%増)となり、会社予想の200億ドルを上回りました。営業利益に至っては136億ドル(同10倍)で、営業利益率は61%を超えました。

 

好業績を受けて、時間外株価は目下7%強の高騰。2〜4月期の売上予想は240億ドル(±2%)とし、「2024年、2025年とそれ以降も成長を続ける」と力強い見通しを示しました。

 

クラウド向けがデータセンター売上の半分

 

エヌビディアの業績を牽引するのは、依然としてデータセンター需要です。

 

データセンターの売上高は四半期ごとに増加しており、第3四半期の売上高は145億1000万ドルと279%増加しました。その前の四半期は103億2,000万ドルで、171%増。第1四半期は42億8000万ドルで14%増でした。

 

最新の四半期では、データセンター売上の半分以上が大手クラウドプロバイダーからのものだったといいます。

 

エヌビディアの創業者兼CEOであるジェンセン・フアン氏は、「加速するコンピューティングと生成AIは転換点を迎えている。企業、産業、国家を問わず、世界中で需要が急増している」として、データセンターの設置ベースは約1兆ドルに上り、今後 4、5 年の間に、世界中のソフトウェアを動かす 2 兆ドル相当のデータセンターが誕生すると主張しています。

 

今後もエヌビディアは独走状態か

 

今後もデータセンター需要は拡大することが予想されます。生成AI拡大にともなって高性能な半導体の需要は急増しており、独走態勢で受注を伸ばしています。

 

3月19日には、日立製作所がエヌビディアとAIサービスの開発で協業すると発表しました。鉄道やインフラ設備をデジタルの仮想空間で再現し、保守点検の効率化につなげる予定です。

 

また、自動運転技術の強化に向けて、エヌビディアと中国EV各社が提携を拡大することも発表されています。

 

独走状態は当面続きそうですが、エヌビディアの動向を追っていきたいと思います。

TOPICS & NEWS

2024.03.25

さくらインターネット積極姿勢、更なる成長に期待

前回の記事でも紹介したさくらインターネットが、今後5年間で最大1000億円を投じて能力を増強する方針です。

 

さくらインターネットの田中社長は、今後の経営戦略として

「来期は今期の2倍に当たる最大200人の人材を採用する。サーバーを保管するデータセンターの開発力と運用力を高める」と語っています。

 

積極姿勢の背景にはデータセンター需要の持続的な拡大があります。クラウドの裾野の広がりに加え、生成AIなど計算量の多い新技術の登場で、膨大な演算を効率的に行えるインフラを有するデータセンターが世界的に不足しています。

 

更に昨年11月「25年度末までにすべての技術要件を満たすこと」(河野デジタル相)という条件付きではあるものの、政府や地方自治体が共同で使う政府クラウドの基盤部分を提供する事業者に選ばれました。AWSジャパン、Googleクラウドジャパン、日本マイクロソフト、日本オラクルの米国勢4社に続く、日本勢としては初の参入となります。

 

日本企業初の政府クラウド認定の発表に、株式市場も反応。株価は発表直後から急押し。23年通年の値上がり率は東証プライムの上場銘柄で首位となりました。

 

日本拠点を持ち味に

 

さくらインターネットはデータセンターを通じてクラウドサービスに必要な仮想サーバーなどのインフラを貸し出していますが、海外IT大手とは異なり、運営する5ヵ所のデータセンターはすべて国内にあります。開発者全員が日本で働き、クラウドの機能を顧客の要望に合わせやすい小回りの良さが持ち味です。

 

政府クラウドを先行導入する省庁や自治体では、発行済みアカウント数175のうち9割超がAWSを選択しています。個人情報保護の観点から、さくらインターネット提供の「日の丸クラウド」の利用を望む自治体が一定数いるもようですが、増収効果は年間数十億円にとどまる見込み。

 

重要なのは政府クラウド参入で得られる知名度や信頼度の高まりといった間接的な効果です。生成AIを使って業務を効率化したい製造大手や訪日外国人向けの翻訳サービスに取り組む旅行大手など、新たな取引先の開拓につなげる方針です。

 

また、昨年北海道のデータセンターに生成AI向けクラウドサービス「高火力」の開発に3年間で130億円規模の投資を行うことを決定。米エヌビディア製高性能GPU「NVIDIA H100 Tensor コア GPU」を搭載したサーバーを石狩データセンターに用意。大規模言語モデルなどの生成AIを中心とした利用を想定しており、今年1月に「高火力 PHY」の提供を開始しました。

 

さらに田中社長は中長期の見通しとして、「3~5年で現在の10倍を提供できなければ国内の需要を満たせない」として、日の丸クラウドの整備を後押しする経済産業省と連携し、エヌビディアに安定供給を求めています。

 

GPUの調達見通しに沿ってデータセンターの増強を続ける場合、単純計算で投資額は1000億円規模に。生成AI関連は利益率が高く、ここで生み出した利益を追加投資の原資とし、不足分は銀行借り入れなどを検討しています。

 

更なる成長を期待

 

競合の米IT大手も日本で攻勢を強めていますが、さくらインターネットは今後も攻めの姿勢を見せていくでしょう。日本拠点の地の利を生かし、更なる成長を期待したいと思います。

TOPICS & NEWS

2024.03.14