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デジタル庁、政府クラウドの選定要件を緩和へ

デジタル庁は、政府や地方自治体が共同利用する政府クラウド(ガバメントクラウド)の提供事業者に関する選定要件を緩和する方針を表明しました。

 

政府クラウドとは、政府と地方自治体が利用するクラウドサービスの共通基盤のことを指しています。ガバメントクラウドと呼ばれ、政府は2025年度末までに税金や国民年金など市町村が担う20の基幹業務に関するシステムを政府クラウドで利用できる体制にする目標を掲げています。

 

330ほどの要件を1社で満たす必要がある現行ルールを改定し、企業連合での参入を可能にします。これによって外資に依存する政府クラウドに、国内企業が参入しやすくなる可能性があります。

 

これまでの多岐にわたる選定要件を単独で満たせる事業者は決して多くありませんでした。2022年度の公募では、セキュリティーや業務継続性などの技術要件を満たす米国企業のクラウドサービスが存在感を発揮、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のほか、グーグル、日本マイクロソフト、日本オラクルの4社のみが選定。

 

国内企業は事業規模やサービス内容などで要件を満たせず、特にシステムの開発から運用支援する体制の構築や、複数のデータセンターを使ったサービス、人工知能(AI)が機械学習する開発環境の提供などがハードルとなっています。

 

1社で実現できるのはAWSやグーグルのような「ハイパースケーラー」と呼ばれる巨大IT(情報技術)企業に限られています。

 

同庁は8月中にも、政府クラウドの提供事業者に関する新たな選定要件を発表して公募を始めるものとみられます。選定された事業者には、新要件は現行の項目をおおむね維持しつつ、データ管理や認証などの中核技術を自社で担っていれば他社と共同でサービス提供できることを認めます。

 

政府クラウド事業者の選定は10月下旬に決定される予定。

 

選定要件緩和の背景

 

今回の選定要件の緩和の背景には

「政府クラウドを保管・提供するクラウド事業者の選定基準を見直すべきだ」

という日本企業、クラウド事業者からの声が高まっていることがありました。今後は、さくらインターネットやインターネットイニシアティブのような企業が、国内クラウド市場に参入する新たなチャンスをつかむ可能性は極めて高いと考えられます。

 

しかしこうした改正にもかかわらず、デジタル庁は、自治体が事業者を選定する権利は維持されると述べています。つまり、今回の改正が実際の選定にもたらす変化は限定的なものにとどまる可能性も。

 

政府クラウドに複数企業での共同参入を要望しているクラウド事業者は少なくありません。要件緩和後の選定結果に期待と注目が集まりそうです。

TOPICS & NEWS

2023.08.31

国内企業データセンター事業、投資の活発化とその背景

今回はまず、国内企業のデータセンター事業の現状、今後の意向を見ていきたいと思います。

 

NTT

 

今後5年間で1・5兆円以上をかけて、データセンターを増やす意向を示しています。最も増やす場所はインドで、2025年度までに現在の12か所から24か所程度に増やす予定で、ここには海外IT大手の進出や人口増など、潜在的な需要が見込まれます。北米にも14か所から23か所に増やしたいと述べています。

 

ソフトバンク

 

ソフトバンク株式会社は、米半導体大手エヌビディアと共同で、生成型人工知能と5G/6Gアプリケーションのプラットフォームを構築して、日本国内の新しいAIデータセンターに導入することを目指しています。

 

このアプリケーションは、エヌビディアのチップ技術に基づいています。そしてソフトバンクは、コスト削減とエネルギー効率の向上を図るため、マルチテナント型の共通サーバープラットフォーム上で生成AIと無線アプリケーションをホストできるデータセンターの構築を計画中です。

 

関西電力

 

関西電力(KEPCO)は、米国のデータセンター事業者 CyrusOneと共同で、900MWの事業規模を達成するという野心的な目標を掲げ、日本でのデータセンター開発に取り組みを始めています。CyrusOne KEPの合弁会社は、ハイパースケールプラットフォーム企業の需要に対応するために特別に調整された新しいデータセンターの開発に焦点を当て、データセンターのインフラをより広範な電力網と連携させることで、この業界における回復力、効率、スマートな開発を強化することを目指します。

 

このように日本国内企業のデータセンター業界は活発化して、プラス成長を遂げているようです。

 

では、この背景には、なにがあるのでしょうか。

 

データセンター業界活発化の背景

 

その背景には、生成AI(人工知能)など、デジタル化の進行があります。データに基づいて意思決定するデータ・ドリブンの社会になれば、データが加速度的に蓄積されていきます。

 

データセンター事業に注力するNTTの島田明社長は、

 

「30年以降に、(電子の代わりに)光を使う半導体を開発したい。研究開発に年間1000億円を投資していく。手始めに、光を使った関連部品の製造を25年以降に始める予定だ。通信機器やサーバーに組み込むほか、より一般的な電子機器への応用も目指す。」

 

と、データセンター事業が、半導体開発と密接にリンクしていることを示唆しています。

 

光を使った半導体であれば、電力消費が圧倒的に少なくなるので、持続可能性の観点からも時代に合っていると言えます。

 

ソフトバンクの宮川潤一社長は、

「AIと共存する時代に入りデータ処理と、電力需要が急速に増加する。日本でのデジタル化社会を支えるための次世代社会インフラの提供を目指す」

 

としています。

 

生成AI(人工知能)の発達の目覚ましい今日。成長戦略について展開するサービスを高度化させる、転換期にきているのかもしれません。

TOPICS & NEWS

2023.08.10