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2024.10.28
今回は、国内のGPUクラウドサービス事業をけん引してきた国内の企業、さくらインターネットの近況について紹介していきます。
さくらインターネットは現社長である田中邦裕氏が学生時代の1996年に起業しました。2011年には日本最大級の郊外型データセンターである石狩データセンターを構築、物理基盤サービスとクラウドサービスを強化。インターネット黎明期から顧客のニーズの変遷とともにサービスの軸足を変え、成長を遂げてきました。
外資系サービスとの競争と市場変化
日本企業のAI開発における外資系サービスへの依存については前回の記事で触れましたが、さくらインターネットも、直近の5年は外資系との熾烈な競争に巻き込まれました。
外資系サービスの影響は国全体としても大きく、デジタルサービスの海外への支払いで生じる「デジタル赤字」は10年前の2倍以上にあたる5.5兆円に膨らんでいるとも。国内のサービスの存在感が乏しい中、「クラウド化が進めば進むほど、日本の貿易赤字が増える」という構図に加え、昨今の円安がこの赤字に拍車をかけています。
しかし、さくらインターネットを取り巻く市場環境も大きく変わっていきます。
DXの旗頭の元、すべての企業がIT企業を標榜するようになり、コロナ禍で社会全体のデジタル化も一気に進行し、市場自体が大きく拡大。
また、円安による外資系クラウドの値上がり、ガバメントクラウド市場拡大の期待もあり、さくらインターネットのような国産パブリッククラウドに期待する声も高まりました。
こうした背景もあり、「2025年末までに機能要件を満たす」という条件付きながら、さくらインターネットは国内企業で唯一ガバメントクラウドの提供事業者としてデジタル庁から選定。
認定を受けた2023年11月以前は、AWS、マイクロソフト、グーグル、オラクルという外資系事業者のクラウドサービスのみの採択でしたが、さくらインターネットは国産事業者で初の認定となったのです。
アジア進出へ米エクイニクスと提携
さくらインターネットは更なる事業展開を進めています。
10月1日、クラウド事業のアジア市場進出を目指し、データセンター運営大手の米エクイニクスと提携すると発表しました。さくらインターネットがエクイニクスのデータセンターの敷地を借りて自前のサーバーを設置した上で、海外でクラウドサービスの提供を検討。同様の手法で日本のクラウドサービスも強化するとのこと。
エクイニクスはシンガポールやインドネシアなどでデータセンターを運営しています。さくらインターネットがサービスを提供する国や時期など詳細は今後詰めていく予定とのことです。
攻めの姿勢を見せるさくらインターネット
米IT大手が高いシェアを持つアジアのクラウド市場へ。さくらインターネットはいよいよ海外市場の開拓に乗り出します。
攻めの姿勢を見せるさくらインターネットにますます期待が高まっています。今後の進捗状況についても引き続き紹介していきたいと思います。
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