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日本初の「データセンター物件情報の検索サイト」開設

CBRE(日本本社:東京都千代田区丸の内)は、「データセンター利用におけるリーシングサービス」の一環として、CBREが運営する国内最大級の事業用不動産専門ポータルサイト『PROPERTY SEARCH(プロパティサーチ)』に、データセンター専用ページ(検索サイト)を開設しました。

 

検索サイト開設の背景

 コロナ禍以降、オフィススペース縮小に伴うサーバールームの移転や、災害・地政学的リスクを踏まえたBCP拠点の設立、DX化推進によるクラウド需要の急拡大など、データセンターに対する需要は年々高まっています。

 

 日本国内ではデジタルサービスの拡大で、データ通信量が2021年までの2年間で倍増しており、今後、さらなるクラウドサービスの利用拡大などにより、データセンター需要が一層高まるとみられています。一方、政府によるデジタル社会基盤整備の方針の下、大都市に集中しているデータセンターの地方分散化や、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、2030年までに全ての新設データセンターを30%省エネ化、データセンター使用電力の一部再エネ化義務づけを検討されていることから、新たな局面を迎えています。

 

 CBREは、このようなビジネス環境の変化に対応するため、データセンター事業者と協業することで、一般事業会社をはじめとするデータセンター利用者に対し、利用するデータセンターの選択肢を広げていただく目的で、データセンターの物件情報を収集し、国内初のデータセンター物件の検索サイトを構築しました。

 

検索サイト主なサービス内容

 データセンターに関わる不動産戦略策定から開発・取引および運営まで、お客様の課題解決の実行を一気通貫・包括的にサポート。

主なサービス内容は、以下の通りです。

 

  •  データセンター事業の「不動産戦略策定」アドバイザリー
  •  データセンター用地の「取得」における売買・賃貸仲介
  •  既設データセンターの「鑑定評価」、新規データセンターの

 「コンサルティング」レポート作成

  •  データセンター建設の「開発プロジェクト」マネジメント
  •  データセンター運用の「プロパティ」および「ファシリティ」マネジメント

 

 さらなる拡大のフェーズを迎えるデータセンター業界。コロナを機に、動画配信やネット通販などは伸び、データセンターの社会インフラとしての重要性がさらに高まったことで、データセンターは、不動産投資の対象アセットとしても注目されています。グローバルをみても、通信事業者やITサービス企業が積極的な投資を行ってきました。日本国内のデータセンターマーケットは、今後、さらなる成長が見込まれることから、国外のデータセンター事業者が相次いで参入しています。年々、増える投資額を受け、国内のデータセンターの開発も急ピッチで進んでいることに加え、政府主導で進んでいる、地方分散誘導や、カーボンニュートラル対応等の社会課題にも、対応しなければいけない状況にあり、データセンター開発を戦略的に全方位で対応することが求められています。

 CBREのこれまでの物流・倉庫、工場、インフラ、データセンターなどの施設におけるアドバイザリー・コンサルティング・マネジメントの知見・経験、CBREが有する国内外のネットワークと盤石なプラットフォームを組み合わせた新たな付加価値を提供するサービスに、期待が高まっています。

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2022.12.10

世界のデータセンターの立地ランキング

以前、日本において安定的に稼働できるデータセンターを見極める立地条件として、

①通信遅延の解消と冗長性の確保
②高電力及び冗長性の確保
③自然災害への対策

以上の3つについて紹介させていただきました。

今回は、世界においてはどのような場所がデータセンターの立地として選出されているのか取り上げていきます。

 

データセンター立地ランキング、米国が圧倒的~バージニア北部がトップ

 

不動産専門会社 Cushman & Wakefield (クッシュマン&ウェイクフィールド)が毎年発表する「世界で最も魅力的なデータセンターの立地」にバージニア北部が再び選出されました。

 

グローバルデータセンター市場比較レポートでは上位8都市に米国が選ばれました。このレポートは、光ファイバーの接続性、税制優遇、土地や電力の価格などの基準に従ってインターネット中心地をランク付けしています。トップ10は米国に偏っており、Cushmanは、現在の容量が1.7GWのバージニア北部が、今後2年間で2GW以上に達する可能性が高いと予測しています。

 

バージニア北部が3年連続で再び総合ランキングのトップに立ったことは驚くことではありません。バージニア州は世界最大のデータセンター市場であり、強力な建設パイプラインを備えています。優れた接続性、魅力的なインセンティブ、低コストの電力を提供しています。空室率は非常に低く、需要は高く、事業者もテナントも同様に拡張に関心を持っています。このような状況から、この地域は今後2年間で世界初の2ギガワット市場になる可能性を持ち合わせています。

 

また、シリコンバレー、シンガポールは、土地と電力の不足がよく知られており、シンガポールの場合は実際に政府がデータセンター建設の認可にブレーキをかけたにもかかわらず高いランキングに入っています。

高電力確保は、日本においては重要な立地条件として挙げられていますが、土地と電力はCushmanがランキングで考慮した13の要因の中で最も優先順位の低い3つの項目です。これは建設業者が常にハブの既存の容量に近いという最優先事項の点数が高い場所で、キャパシティを絞り込む方法を見つけることが期待されていることを示しています。

 

Cushmanの上位3要素は、ファイバー接続、市場規模、クラウドの利用可能性です。

 

その次に位置する要素は、基本的にオプションとして提供されるもので、持続可能性、政治的持続可能性、税金、インセンティブなどが含まれます。日本で重要視される自然災害による環境リスクは、最もウエイトの低い要素です。

 

香港は再生可能エネルギーの利用率が非常に低く、データセンター事業者は温室効果ガスを大量に排出していることになりますが、この要素ではトップ10圏外から6位にランクインしています。

 

一方シアトルと新規参入のポートランドが同率10位に入ったことについては、「どちらも米国太平洋岸北西部にある持続可能性に重点を置いた都市」と環境問題への配慮を評価されています。

 

米国の優位性

 

データセンター米国優位の背景には米国のソーシャルメディアやクラウドのハイパースケーラがインターネットを支配している点にあると思われます。しかし、これは中国が他の国々と同じように国際的な不動産市場に参加していないという事実を反映していることが考えられます。北京と上海はこのリストに含まれていますが、上海は600MWで世界第4位のデータセンター・ハブであるにもかかわらず、上位をにぎわしていません。

トップ10には米国のハブが8つ含まれており、アトランタ、ポートランド、フェニックスが新たにランクインし、ニューヨーク(昨年の第9位)の陥落を補っています。ロンドン(前回7位)とアムステルダム(昨年10位)は、それぞれ800MWと400MWの規模であるにもかかわらず、トップ10から外れました。

米国以外では、シンガポール、香港、シドニーの3都市がランクインしています。なお、10位が同点であったためトップ10には11の都市が含まれています。

 

このような世界のデータセンターの事情が、日本にどのような影響を及ぼすのか、今後も注目が必要です。

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2022.11.25

オフバランス化の問題点

前回は、資産や負債をバランスシートに計上しない、バランスシートをスリム化する「オフバランス化」が注目される理由について、ご紹介させていただきました。

様々なメリットがあるオフバランス化ですが、今回はオフバランス化の問題点について、いくつかの要点を列挙してみます。

 

問題点1:トータルコストの上昇

  

オフバランス化のために資産を売却し、サービス利用に切り替えることで、トータルコストが上昇するケースがあります。

例えば、自社で保有するサーバー機の購入費用が200 万円で、平均6年間サーバーを使用していたとした場合に、同等スペックのクラウドサービスを月額3万円で6年間使用すると216万円となり、トータルコストが上昇します。

 

もちろん、サーバー機が6年より早く壊れてしまう可能性もありますし、サーバー機をメンテナンスする人員の確保に人件費がかかり、実際のトータルコストは購入費の200万円より高かったというケースもあると思います。結果としてオフバランス化しない方がトータルコストを安く済ませるケースが存在する為、サービス利用等を開始する際には慎重な判断が必要となります。

 

問題点2:資産価値上昇による機会損失

 

資産の保有は、資産を失うリスクを伴いますが、資産は価値上昇により利益を生む場合があります。

例えば国土交通省が毎月発表している不動産価格推移によると、マンション価格は2010年から12年で約1.8倍まで上昇しています。

2010年頃にマンションを売却した人の中には、“あの時売らずにもう少し保有しておけば良かった”と後悔している方も少なくないかもしれません。

保有資産の売却・処分のタイミングは、様々な要素を考慮しながら慎重に判断する必要があると思います。

 

問題点3:手数料がかかるケース

 

バランスシートをスリム化する手段の1つとして、ファクタリングサービスがあります。売掛債権を期日前に債権譲渡するものですが、ファクタリングサービスの手数料は10~20%ともいわれ、例えば1000万円の売掛金が、800万円に減ってしまうようなことが起こり得ます。

 

売掛金をすぐに・確実に回収できることはメリットも大きいですが、例えば資金繰りの改善が目的であれば、銀行融資を受けた方が良かったというケースも存在するでしょう。

 

ファクタリングを含め、オフバランス化のコンサルティングを受ける際は、その手数料についてもしっかりと確認をすることが重要です。

 

以上、オフバランス化の問題点にも目を向けていただくことで、より安心してオフバランス化を実施していただけるのではないかと思います。

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2022.11.01

Googleの進出で、『DC銀座』として更に加熱する千葉県印西市

10月7日、Googleが日本のネットワークインフラに総額1000億円を投資する計画を発表しました。千葉県印西市に同社としては日本初となるデータセンターを稼働させることがニュースとなりましたが、データセンターに詳しい方以外は「なぜ印西市?」「千葉ニュータウン中央駅」ということのようで、SNS上で話題を呼んでいます。

近年はベッドタウンとして人気も高まっている印西市ですが、実はIT業界では、データセンター(DC)が集まる『DC銀座』として有名なのです。以前から海外企業向けの大型データセンターが続々と建設されています。アマゾンのデータセンターも印西市にあり、いまや海外でも、『INZAI』の名は知られているそうです。

データセンターは、サーバーやネットワーク機器を収容する施設なので、現在の企業にとっては生命線ともいえる存在です。そのため、地震などの災害にも耐える必要がありますが、印西市はどうなのでしょうか。

 印西市は千葉県北部にあり、南東部に印旛沼、北西部に手賀沼、北部を利根川が流れています。しかし市の大部分は、標高20~30メートルの平坦な台地にあり、データセンターが多く集まる北総線・千葉ニュータウン中央駅周辺も、その大地の上に位置しています。

 千葉ニュータウン周辺は下総台地の平坦地にあり、地盤もよく、災害リスクも低い土地にあたります。この付近の下総台地の地盤は、10数万年前にできた締まった砂層と、安定した関東ローム層の地盤からなっています。地震の揺れが増幅されづらく、液状化も発生しにくい特徴があります。

さらに、海から離れた内陸にあるため津波の心配もなく、水害のリスクも少ないと言えます。

「DC銀座」となった理由は、災害リスクが低いからだけではありません。

東京都心から約40km、成田空港から約15kmという立地で、アクセスが良好。また、アメリカなど海外と結ぶ海底ケーブルの陸揚げ拠点である茨城や南房総と、東京の通り道にあることも大きな強みです。更にデータセンターは非常に多くの電力を消費しますが、2023年に東京電力の超高圧変電所ができるなど、データセンター建設において必要不可欠なインフラが充実しているのです。

千葉のデータセンターは、日本に対する7億3千万ドルのインフラ関連投資の一部であるとGoogleのCEOピチャイ氏は述べています。この投資には、太平洋を横断し、2023年の開通時には日本とカナダ西海岸を結ぶ最初の光ファイバケーブルとTopaz海底ケーブルも含まれます。

 2022年3月に大東建託が発表した「子育て世帯の街の住みここちランキング2021<首都圏版>」によると、東京都中央区に次いで第2位の印西市。

Googleの進出によって、今後もますます注目を集める場所になりそうです。

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2022.11.01

オフバランス化とは何か?注目される理由を解説します。

資産や負債をバランスシートに計上しないことを、オフバランス化と呼びます。

様々なメリットがあるため注目されている概念です。

 

今回は、オフバランス化が注目される理由について解説します。

 

オフバランス化が注目される理由

 

1:経営指標の健全化

 

オフバランス化を進めるということは、企業の資産総額・負債総額が減少することを意味します。

つまりオフバランス化によって、企業の経営状態を表すROE(自己資本比率)やROA(総資産事業利益率)など、重要な意味を持つ指標に変化が起こるため、オフバランス化が経営者や投資家から注目を集めているのです。

 

財務諸表に何を記載すべきかは各国の会計基準や、国際会計基準によって決まっていますが、世界は常に変化しており新しい概念が次々と生まれるため、基準がハッキリとしない分野というのは常に存在します。

 

例えば、暗号資産の会計処理について、基準がハッキリとしなかった時期があることをイメージできる人は多いのではないでしょうか。

 

他の例としては、リース契約によって入手した物件と、リース料金の支払い義務を貸借対照表に計上すべきかという問題が長年存在しました。

 

リース契約で物件を入手している企業としては、自己資本比率等を良く見せたいため、オフバランス化をしたいところですが、一方で企業の経営状態をより正確に把握したい投資家など会計情報の利用者側からは、オンバランス化を望む声が上がります。

 

暗号資産やリース契約については、一定の基準が出されたことによって一応の決着をみていますが、例えば今までは自社で保有していたサーバーをクラウドサービスに移行したり、人員や業務のアウトソーシング等によっても、オフバランス化が促進されるケースは多いはずです。

 

2:資産の所有リスクの回避

 

資産を所有するということは、資産を失うリスクを常に含みます。

例えば、購入後に壊れてしまうリスクを考慮し、大きな機械は購入ではなくリースを選択する経営者は多いはずです。

 

変化の激しい現代においては、購入してしまったことで次世代機に移行できなくなる等の問題が発生することも考えられるため、所有リスクを回避できるということは柔軟な経営判断においても重要といえます。

 

オフバランス化は、経営指標を改善するという短期的な目線だけではなく、未来の経営を考えて判断するという長期的な目線が必要です。

 

次回は、オフバランス化の問題点についてお伝えさせていただきます。

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2022.09.29

データセンターに求められるロケーション

近年、爆発的に増加するデータトラフィックに追従するかのように、長期的に収益を上げ続ける不動産投資としてデータセンターに注目が集まっています。

データセンターは、一般的な商業施設と比較しても非常に堅牢に設計されているため、資産価値が落ちにくく、投資先としての信頼性は高くなる傾向がありますが、実際に安定的に稼働し続ける(絶対に停止しない)ためには、立地の条件が非常に重要です。

今回は、安定的に稼働できるデータセンターを見極める立地条件を3つご紹介します。

 

1:通信遅延と冗長性への許容

 

データセンターに最適なロケーションは、通信遅延や冗長性(じょうちょうせい)に対しユーザーがどの程度許容できるかによって変わります。

通信遅延はほとんどの場合、データセンターとユーザー間の距離によって発生するため、レスポンスの速さが求められるシステムや、ビッグデータのリアルタイム処理など、高い通品質が求められる場合には、利用者が多い都市部に建設することが望ましいとされています。

その一方で、「一定の通信遅延は許容しつつ、広い敷地に大規模なデータセンターを建築して、膨大なデータを処理したい」というメガクラウドサービス事業者のニーズや、「データのバックアップを保管して災害に備えたい」という一般企業のニーズも存在します。

ネットワークの冗長性とは「異キャリア」及び「異ルート」の確保であり、「異キャリア」とは異なるキャリアのアクセス回線や接続サービスを組み合わせること。「異ルート」とは各回線経路が3km以上離れて敷設されていることを指します。データセンターはネットワーク接続されていなければ、ただの「箱」となってしまいます。

投資家はネットワーク環境を十分に調査した上で、データセンター投資案件を選別する必要があるのです。

 

2:電力確保

 

データセンターの投資価値の判断には、電力確保という観点も大切です。

データセンターでは、高性能なコンピューターを大量に、そして24時間365日、常に稼働させ続けるために、多くの電力を消費します。

IEAの2020年レポートによるとデータセンターの年間電力需要は約200TWhとされ、それは世界の最終電力需要の0.8%に相当します。日本の首都圏に限定すると、全消費電力のうち、データセンターは12%を占めるという調査結果もある程です。

全世界のインターネットのトラフィックが増え続け、世界のインターネットユーザーも2019年の38億人から2025年には50億人に達すると予測されている中、データ量は今後も増え続け、減ることはまず考えられません。

大量の電力を引き込むための工事は、場所によって費用や工期が大きく異なります。

変電所に近かったり、過去に大量の電力を使用していた工場の跡地などは短期間で比較的安価に送電を開始できる可能性がありますが、そのようなロケーションは限られているため、常に情報のアンテナを張り巡らせておくことが大切です。

 

3:自然災害への対策

 

日本は地震や台風、河川の氾濫など自然災害の影響を受けやすい国であるため、安定的な稼働に自然災害への対策という視点は欠かせません。

災害に強いロケーションとは、活断層が近場に存在せず、津波や高潮、集中豪雨などによる浸水の危険性を指摘されていない地域のことを指します。

実際にデータセンター投資を検討している投資家は、少なくとも以下の調査をしておきましょう。

 

『活断層図(都市圏活断層図)』
 (国土交通省国土地理院)
 全国にある都市圏の活断層図を閲覧できます。

 

『活断層の地域評価』
 (文部科学省研究開発局地震・防災研究課の地震調査研究推進本部事務局)
全国の対象地域に分布する活断層で発生する地震を総合的に評価した結果を確認できます。

 

『ハザードマップポータルサイト』
 (国土交通省)

 
台風や豪雨などによる水害の危険性のある地域や洪水想定、地震による津波の想定などを確認できます。

災害の多い日本では、お客様の大切なデータを守るために地震や台風などの自然災害に強く、その被害を最小限に抑えられるようなロケーションでデータを管理することが重要です。

立地は後からの対策が難しい要素であるため、データセンター投資の際は、慎重にロケーション選定を行いましょう。

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2022.09.12

その4:最終回 – データセンター(DC)とカーボンニュートラル

DCの最適配置に向けて地方分散とカーボンニュートラルへ向けて成功するキーワード

 

 

 地球温暖化や異常気象、CO2対策、SDGs及びESG投資のキーワードは、企業レベルにとどまらず、今や国民一人一人にも浸透し意識レベルが向上しています。

 ちょっと視点を変えますが、今日までのコロナ禍において、世界では外出禁止令等法規制という強い措置をもってコロナ対策をしていましたが、日本では法による罰則がなくても殆どの事業者及び個人は、国が指導する3蜜対策、リモートワーク、営業自主規制、マスク着用等々を成功させています。日本人の国民性が自己の権利・主張のみならず、周囲への配慮、気遣いができる義務を重んじる国民性であることが、改めてコロナを通じて再認識したのではないでしょうか。

 DCの最適配置における地方分散の実現も、我が国の国民性を活用して成功するキーワードがあるような気がします。

 その3で説明した通り、国内のDC利用者が都市部に集中するのであれば、DC利用者に対し、地方の一定の基準を満たした新たなDCを活用することを国が指導し、一定の恩恵を与えることで、DCの最適配置に向けての課題は解消できるのではないかと考えています。

 では、地方の一定の基準を満たした新たなDCとはどのようなものにすればよいでしょうか。

 

 DCの開発先例からみてみると、株式会社データドックは新潟県長岡市に今まで類を見ないハイスペックの寒冷地型DCを建設しました。JDCC:ティア4のみならず、PUE値:1.19、床荷重:3.0t/㎡、雪氷冷熱設備の装備、産学連携による余剰エネルギーを活用した植物工場の誘致、その他の耐災害性等々、環境にやさしく、DC利用者が安全・安心してサーバーを設置することが可能なDCとなっています。これらの性能を各方面から評価を受けた結果、世界でトップクラスのサーバーベンダーであるNVIDIAが独自の高い基準による自社のサーバーを設置するために推薦する「NVIDIA DGX-Ready Data Center」として、アジアの7社の1つに認定すると共に、国内においてDCでは初めてとなるJクレジットの認証を受けました。

 地方の一定の基準を満たした新たなDCとは、上記を参考として国が一定基準を設けてクリアしたDCのみに与える()認証エコDCとして地方誘致促進を図り、一定規模のサーバーを保有する企業(主に大企業や中堅企業)に対して()認証エコDCにサーバーを置くことを指導する仕組みです。指導に従った企業には、一定の税制措置の優遇や、認証マークの企業広告の活用を可能にして、企業側のESGへの取組みPRに最大限活用してもらいます。加えて、クラウド事業などを展開する企業にとっては、中小企業や個人のエッジコンピューターを利用している相手方に対して、()認証エコDCにサーバーを設置していることをPRして、エッジの利用者のクラウド利用促進を図り、エッジの利用者も間接的にCO2削減に貢献していることを認識させる仕組みです。

 その3DC利用者の都市部での利用が心理的要因であるならば、上記の方法は功を奏することに違いなく、発展形として()認証エコDC周辺にICT系企業の地方誘致促進につながり、地方創生の一助にもなるのではないかと考えています。

 ()認証エコDCの認定基準ですが、DCがカーボンニュートラルへとより近づくために、認証基準のハードルはより高く、可能な限りPUE値を低く且つ再生可能エネルギーを最大限活用したDCであるべきと考えています。

 

 最後になりますが、このブログが国または地方公共団体のデジタルインフラ関連のご担当者の目に留まり、日本のデジタルインフラの発展の一助となるような、有益な展開になることを切に願っております。

(文責:小杉 雅芳)

 

以上

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2022.09.05

その3:データセンター(DC)とカーボンニュートラル

DCの最適配置に向けての地方分散と現状の矛盾について

 

 国内のDCの立地を見ると、約8割が関東及び関西に集中してるのが現状です。これは大規模地震等の災害に対して脆弱な立地であり、BCPBusiness continuity plan:事業継続計画)の観点から大きな問題となっています。また、これらDCの約40%以上が竣工後20年以上を経過していると共に低電力DC2kVA/ラック以下)の割合が約60%以上を占めている状況で、加速度的に進むAIや深層学習需要等に対応するDCの提供が難しくなっています。加えて、我が国のデジタル化は欧米諸国やアジア圏諸国と比べ遅れを取っており(世界デジタル競争力ランキング202027位)、残念ながらデジタル後進国と言わざるを得ない状況です。

 現岸田政権においては、202112月の所信表明演説で「成長と分配の好循環を実する「新しい資本主義」をコロナ禍に伴う危機後の目標に位置づけ、成長戦略の柱としてイノベーションデジタル気候変動経済安全保障の4分野を掲げ、デジタル分野では日本を周回する海底ケーブル「デジタル田園都市スーパーハイウェイ」、大規模データセンターや光ファイバー、高速通信規格「5G」と組み合わせて高速大容量インフラの全国での整備を実現する」ことを約束しました。その結果を受けて、DCの最適配置に向けて地方分散の提案が徐々に取り纏まりつつある状況で、現在では多数の地方公共団体も名乗りを上げている状況となっています。

 それでは、国が推し進めるDCの最適配置(地方分散)が順調にいけばよいのですが、はたしてどうでしょうか。

 

 今、私たちが肌で感じていることは、新たにDC事業を企てているDC事業者等は、東京であれば東京23区内又は大手町から3050㎞圏内のDC用地を、大阪であれば大阪市内(内陸側)又は堂島から3050㎞圏内(且つ北摂及び京阪奈エリア)のDC用地を血眼になって探しています。東京23区内や大阪市内においては、都市型DCの建設を目論み、その3050㎞圏内には、ハイパースケールDCの建設を目論んでいます。つまり現状においては、我が国が進めるDCの最適配置と矛盾した状況が現場レベルでは進んでいるのが現状です。実は簡単なことで、DC事業者はサーバールームをDC利用者(サーバー設置を希望する企業等)に場所を提供して収益を上げる構造で成り立っていますが、DC利用者自体の需要が上記のエリアを希望していることが大きな要因となっています。当社の経営陣も地方でDC事業をしていた際、DC利用者の呼び込みに大変苦労していたようです。DC利用料金を都市部より安価に設定して営業攻勢をかけても、DC利用者から聞こえてくる声は「大手町、堂島のIXに近い方がレイテンシーの観点から安心」、「有事の際、事務所から1時間以内で駆け付けられる場所が理想的」、「BCPの観点からは地方分散をするべきであるが、大規模な天災直後は、社内経営陣も含め重要性は認知するものの、時の経過と共にトーンダウンしてしまう」等々、心理的要因が大きな影響を与えています。レイテンシーの観点で言えば、海外にサーバーを置くわけではなく、国内の強力な通信網と繋がったDCであれば、時間のずれはごく僅かです。事務所から1時間圏内も、複数の地方DCにバックアップ対策を講じていれば、概ね解消できる議論であり、かつ、各DCにおいても、各利用者の要請に応じてサーバーのマネージドサービスを提供しているのが一般的です。

 このような状況下、DCの最適配置に向けて地方に積極的にDCを誘致しても、DC事業者が積極的に手を挙げて、DC事業を展開していくにはハードルが高く、如何にしてDC利用者に地方進出に目を向けさせるかが課題となります。

(その4:最終回)ではDCの最適配置に向けて地方分散とカーボンニュートラルへ向けて成功するキーワードについて触れてまいります。

(文責)小杉 雅芳

 

 第二百七回国会における岸田内閣総理大臣所信表明演説(2021126日)

令和3年12月6日 第二百七回国会における岸田内閣総理大臣所信表明演説 | 総理の演説・記者会見など | 首相官邸ホームページ (kantei.go.jp)

デジタルインフラを巡る現状と課題(20214月)

03.pdf (meti.go.jp)

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2022.09.05

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