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人工知能(AI)の急速な普及に伴い、世界的にデータセンターの重要性が増加していることはこれまでもお伝えしてきました。
国内でも近年半導体関連の工場建設に加え、データセンターの新設が活発になっていますが、政府は2050年までにCO2など温暖化ガスの実質排出ゼロを目指しています。
データセンターで消費する大量の電力をどう確保するかなどの課題を抱える中、各社では再生可能エネルギーを利用し、二酸化炭素(CO2)の排出量を抑えながら、需要に対応できるよう工夫を凝らしている状況にあります。
今回は、その電力の課題に関連するところで、米グーグルからの発表がありましたので紹介していきます。
米グーグル、小型モジュール原子炉からの電力購入などを発表
グーグルは、米国次世代原子力発電のカイロス・パワーが開発・設置する小型モジュール原子炉(SMR)からの電力を購入する計画を発表しました。
2030年までに最初のSMRを稼働させ、2035年までに追加炉を展開することで、計7基のSMRで500メガワット規模の電力供給を目指すとしています。
SMRは発電に必要なシステムや部品などを工場で組み立てた後、ユニット一式(モジュール)として設置場所に輸送することができるため、従来の原発と比べて建設の期間やコストの低減が期待されています。また、小型ゆえに、立地の選定が比較的柔軟にできるほか、冷却もしやすいため安全性が高いといわれています。
こうしたメリットから、次世代の脱炭素電源として米国を含め世界各国で開発が進められていますが、実装に当たっては、SMRがスケールメリットを発揮するまでの間、比較的高コストとなる電力の購入者を見つけるのが困難であることが課題の1つとして指摘されています。
グーグルにとってはAIデータセンターの電力需要に対応しつつ、自社の脱炭素化目標を促進する意味合いがあります。
政府も民間を後押ししています。米国政府は2050年までに原子力容量を3倍にする目標を掲げており、SMRの推進に向けて実証プロジェクトへの支援や燃料サプライチェーンの構築などの取り組みを進めている様子。
米国エネルギー省(DOE)は次世代SMR開発に最大9億ドルの支援を発表しており、SMRの開発と建設の促進のための官民の取り組みは活発化しています。
電力の課題、各国に迫られる対応
米国では、次々とIT大手が原子力エネルギーに投資しています。それに対して欧州、ドイツやイタリアでは脱原子力エネルギーの流れが加速中。原子力には日本も積極的といえる状況ではありません。
これからもAIの需要の高まりに応じて、電力の課題は各国で対応を迫られるところになりそうです。
2024.11.27
今回は米半導体大手エヌビディアについて、1つ大きなニュースがありましたので紹介していきます。
米司法省、NVIDIAに強制調査
9月上旬に、米司法省がエヌビディアの強制調査に乗り出したことが明らかになりました。反トラスト法(独占禁止法)による提訴を視野に、証拠を集めるための召喚状を送ったと米ブルームバーグ通信が報じています。
エヌビディアはAIの開発・動作に使う半導体で1強状態。英調査会社オムディアによると、エヌビディアの2023年のデータセンター向けAI半導体のシェアは約8割に達するとのこと。この状況について他社の供給を阻む反競争的な行為があったかどうかが焦点となります。
エヌビディアは半導体そのものだけでなく、AI開発に最適なソフトを提供しています。半導体とソフトとを抱き合わせで使う顧客らに対し、供給面や価格設定で優遇していないかなどを同省が調べている様子です。
AI開発業者のスタンダード、NVIDIAの「CUDA」
生成AIモデルの訓練を含む大規模演算の用途では、エヌビディア製GPUに特化したソフト開発環境「CUDA」が圧倒的なシェアを持っています。同社による普及活動の結果として、CUDAを使うことが多くのソフト開発者のスタンダードになっているからです。
仮にエヌビディアに反競争的な行為があったとすれば当局から是正命令を受ける可能性がありますが、CUDAに慣れた開発者が多いという現状を覆すのは簡単ではありません。
CUDAは同社製GPUのハード仕様と密に連携しており、特定のレイヤーで標準部分と独自部分を分離するのも容易ではなさそうです。
競合が対抗製品を投入していますが、エヌビディアの先行優位は続いています。AI開発企業は実質的に同社の製品が不可欠となっています。
監視を強める司法省
独禁当局である司法省は米連邦取引委員会(FTC)と並び、巨大テクノロジー企業への監視を強めている様子です。司法省は米グーグルの独占をめぐる裁判で8月上旬に地裁で一審勝訴を勝ち取っています。米アップルに対しても3月に独禁法違反で提訴に踏み切っています。
米エヌビディア提訴への具体的な動きはこれからということになりますが、状況が明らかになり次第お伝えしていきます。
2024.11.19