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シャープ、堺市液晶パネル工場一部売却、AIデータセンター構築へ

昨年稼働停止したシャープの液晶パネル工場(堺市、敷地面積=80万平方メートル)が、IT業界の注目を集めています。

広大な工場の敷地と建屋を人工知能(AI)向けのデータセンターにしたいソフトバンクとKDDIから協力を求められ、シャープはそれぞれと「合意した」と公表。

この件について12月に大きな発表がありましたので紹介していきます。

  

KDDIとAIデータセンター構築に関する基本合意書を締結

  

129日、シャープとKDDIは、堺工場跡地にAIデータセンターを構築して早期に稼働させることに合意し、基本合意書を締結したことを発表しました。

  

KDDIは、堺工場跡地の土地や建物、電源設備などを譲り受けることで、2024年度中にAIデータセンターへの転換工事に着工し、2025年度中に本格稼働させることを目指すとしています。

  

シャープは、売却を通じたアセットライト化により、ブランド事業を中心とした事業構造を確立していくとともに、KDDIによる速やかなデータセンターの構築に協力していくとのこと。

  

シャープとKDDIは、AIデータセンターの構築を通じて、各産業・各業界のビジネスパートナーとともに事業を通じた持続可能な社会の構築を進め、日本全体の活性化に貢献していくとしています。

  

ソフトバンクに1000億円で工場一部売却

  

1220日には、堺工場跡地の土地や施設の一部をソフトバンクに売却すると発表。

  

売却額は約1000億円。ソフトバンクはAI向けデータセンターを構築する計画で、データ処理に使う画像処理半導体(GPU)の調達を含めると総投資額は数千億円規模に達する可能性があります。

  

データセンターは2025年度中に着工し、2026年の稼働開始を目指すとしています。規模を示す電力容量は開始時に国内最大級の150メガワット程度を見込み、早期に250メガワットまで引き上げ、GPUは米エヌビディアから次世代AI半導体「B200」などを購入する予定です。

  

ソフトバンクは各地の主要都市にデータセンターを整備する計画を掲げています。堺は関西エリアの大型拠点という位置づけに。生成AIの基盤となる独自の大規模言語モデル(LLM)の開発・運用に使うほか、外部企業などへの貸し出しも想定しています。

  

堺工場跡地の動向2025年も注目を

  

シャープは液晶パネル事業の代わりに、家電製品などの「ブランド事業」中心の収益構造に転換する方針を掲げています。売却で得た資金はブランド事業の強化に振り向けるとみられます。

  

堺工場跡地を巡っては積水化学工業も一部取得を検討しているとの情報もあり、2025年も動きがありそうです。今後も状況を紹介していきたいと思います。

TOPICS & NEWS

2025.01.27

公正取引委員会、米巨大IT企業へは初のグーグルに排除措置命令へ 

千葉県印西市に続いて、広島、和歌山へのデータセンター建設をリリースするなど、日本に対して大規模なデータセンター投資を行っているグーグル。欧米では、グーグルをはじめとする巨大テクノロジー企業に対する、規制当局からの監視が強まっています。また日本の公正取引委員会もグーグルへの監視を強化しています。

  

グーグルに独占禁止法に違反の疑い

  

インターネット検索最大手のアメリカの「グーグル」が、スマートフォンのメーカーに対し、自社のアプリを優遇させるなど独占禁止法に違反したとして、日本の公正取引委員会が違反行為の取りやめなどを求める排除措置命令を出す方針を固めたことが分かりました。

  

公正取引委員会は、グーグルがAndroid端末メーカーに対し、販売するスマートフォンに「Google Play」アプリをプリインストールを許諾する条件として「Google Search」アプリや「Google Chrome」アプリなど、いくつかの自社アプリを併せてプリインストールさせるとともに、それらアプリのアイコンの表示位置を細かく指定したライセンス契約を締結させているとの疑いがあるとして昨年10月に調査を開始。同時に第三者からの情報や意見の募集も実施していたとのこと。

  

Android端末でGoogle Playが利用できなければ、ユーザーは使いたいアプリのインストール用パッケージをインターネット上から探し、発見できればそれをダウンロードして、手動でインストールしなければなりません。そのため大多数のユーザーは、グーグルの要求に従うほかなく、これは独占禁止法が禁じる「拘束条件付き取引」に該当するのではないかと考えられています。

  

競合他社の検索アプリを搭載しないことを条件に、検索と連動する広告サービスで得た収益を分配した疑いもあるとのこと。

  

公正取引委員会は、グーグルがこうした取り引きで遅くとも2020年以降、競合他社を排除して自社を優遇し取引先の事業を不当に制限するなど独占禁止法に違反した疑いがあるとして、違反行為の取りやめなどを求める排除措置命令を出す方針を固めたということです。

  

もし、排除措置命令が出されれば、アメリカの巨大IT企業への初の措置ということになりますが、公正取引委員会はまず文書で通知を行い、それに対する意見をグーグルから聴取したうえで最終的に処分を決定することになります。

  

世界的に強まる規制当局からの監視

  

アメリカでは昨年8月、司法省がグーグルの検索サービスにおける独占的立場を解消するため起こした反トラスト法(アメリカの独占禁止法)訴訟において、裁判所が司法省の主張を認める判決を下しました。9月上旬には、同司法省がエヌビディアの強制調査に乗り出したことが明らかになっています。

  

そのような中で、日本の公正取引委員会がアメリカの巨大IT企業に排除措置命令を出すのは今回が初めてということもあり、今後の展開に注目が集まっています。

TOPICS & NEWS

2025.01.21