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政府が動き出す「GX戦略地域」構想 ― データセンター集積地を全国から公募開始

政府は、データセンター(DC)の集積に適した候補地を全国の自治体から公募する方針を示し、826日から募集を開始しました。GX(グリーントランスフォーメーション)を推進する新制度「GX戦略地域」を創設し、データセンターや脱炭素産業を集中させる拠点づくりを進めます。選定された地域には、GX経済移行債を活用した補助金や土地利用に関する規制緩和といった優遇策が適用される見通しです。

 

政府の狙いは、脱炭素電源を基盤に、持続可能かつ強靭なデジタル・産業基盤を国内に構築することにあります。

  

100万kW級への拡張を求める電力要件

  

 今回の公募において最も注目される条件のひとつが「電力供給規模」です。政府は、候補地において電力系統の接続可能規模を将来的に100万キロワット(1000メガワット)級へと拡張できることを要件としています。国内のDC需要が急拡大するなか、単に再生可能エネルギーを確保するだけでなく、大規模な増強に耐えうる電力インフラを前提とした集積地づくりが求められているのです。

 

これにより、従来は都市圏に集中していたDC群を地方に分散させつつ、電力逼迫リスクに強い全国的なインフラ網を構築する狙いがあります。

  

地方分散と産業転換を見据えた公募

  

公募対象はデータセンターにとどまりません。石油化学コンビナートの跡地再生や、再生可能エネルギーを活用した産業団地造成も視野に入れています。縮小傾向にある従来型産業拠点を、GXの流れに沿った研究・開発や再エネ拠点へと転換し、地域経済の新たな成長の柱とすることが期待されています。

 

また、30ヘクタール以上の安定した用地確保や通信インフラの整備といった要件も課され、地方自治体と企業の連携による包括的な提案が求められます。

  

新たな集積地を狙う思惑

  

国内のDCは依然として大都市圏に9割が集中しています。災害リスクや電力需給逼迫の懸念を踏まえれば、地方分散は喫緊の課題です。政府が提示する「100kW級」の要件は、単なる分散政策にとどまらず、電力インフラを前提とした産業クラスターの新拠点を生み出す強い意思の表れとも受け取れます。

 

言い換えれば、この政策の裏側には「既存の都市圏集積を補完する新たな成長拠点を地方に創出する」という明確な思惑が透けて見えるのです。GX戦略地域の指定をめぐっては、全国の自治体による競争が本格化することが期待されます。

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2025.09.16