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TOPICS & NEWS

大林組、新会社設立、都市型データセンター開発事業に参入を発表

人工知能(AI)技術の進歩やクラウドサービスの利用拡大により、データセンター市場は急速な成長を続けています。今回は、国内のデータセンター事業に関して、大手建設会社「大林組」から注目すべき発表がありましたので紹介していきます。

 

都心部でデータセンター開発事業参入を発表

 

大林組は、都心部でのデータセンター開発事業に本格的に参入することを発表しました。11月末には新会社「MiTASUN(ミタサン)株式会社」を設立。東京都心部での都市型データセンターの開発・運営に乗り出します。

 

大林組がこれまでの建築事業や開発事業で培った知見を生かして、発注者として都市部のオフィスビルを小規模データセンターに改修、建て替えなどを進行します。8km圏内に複数の小規模データセンターを開設し、それらを専用光回線で接続してデータセンター群を構築。ハイパースケールと呼ばれる大規模データセンター相当の規模をデータセンター群全体で確保する予定です。

 

持続可能な社会の実現を目指すプロジェクト

 

MiTASUNは今後10年以内に、東京都心でのデータセンター開発に約1000億円を投資する方針を示しています。28年度に第1号プロジェクトとして、データセンター規模を示す受電容量が5.5MW程度の小規模データセンターを東京・三田に新築。また第1号から約6km離れた場所に、すでに都内での第2号となる用地も確保しており、31年度までに40MW級のデータセンター群の構築を目指しています。

 

さらに、他社とのアライアンスも積極的に推進し、以下の施策を展開する方針です。

 

・他社保有ビルのデータセンター化

・他のデータセンター事業者との相互接続

・持続的な施設規模の拡大

 

大林グループは、この新規事業を通じて都市インフラの高度化に貢献し、持続可能な社会の実現を目指すとしています。

 

都市型データセンター事業展開に期待

 

データセンターの需要は今後も拡大が見込まれており、特に都心部での需要は更に増加していくことが予想されます。大林組の都市型データセンター事業は、都市開発における新たなモデルケースとなるのでしょうか。大林組の建設事業で培った技術力と開発事業のノウハウを活かした展開に期待が高まります。

TOPICS & NEWS

2024.12.19

AIの普及による電力の課題、米国は原子力エネルギーを推進

人工知能(AI)の急速な普及に伴い、世界的にデータセンターの重要性が増加していることはこれまでもお伝えしてきました。

  

国内でも近年半導体関連の工場建設に加え、データセンターの新設が活発になっていますが、政府は2050年までにCO2など温暖化ガスの実質排出ゼロを目指しています。

  

データセンターで消費する大量の電力をどう確保するかなどの課題を抱える中、各社では再生可能エネルギーを利用し、二酸化炭素(CO2)の排出量を抑えながら、需要に対応できるよう工夫を凝らしている状況にあります。

  

今回は、その電力の課題に関連するところで、米グーグルからの発表がありましたので紹介していきます。

  

米グーグル、小型モジュール原子炉からの電力購入などを発表

  

グーグルは、米国次世代原子力発電のカイロス・パワーが開発・設置する小型モジュール原子炉(SMR)からの電力を購入する計画を発表しました。

  

2030年までに最初のSMRを稼働させ、2035年までに追加炉を展開することで、計7基のSMR500メガワット規模の電力供給を目指すとしています。

  

SMRは発電に必要なシステムや部品などを工場で組み立てた後、ユニット一式(モジュール)として設置場所に輸送することができるため、従来の原発と比べて建設の期間やコストの低減が期待されています。また、小型ゆえに、立地の選定が比較的柔軟にできるほか、冷却もしやすいため安全性が高いといわれています。

  

こうしたメリットから、次世代の脱炭素電源として米国を含め世界各国で開発が進められていますが、実装に当たっては、SMRがスケールメリットを発揮するまでの間、比較的高コストとなる電力の購入者を見つけるのが困難であることが課題の1つとして指摘されています。

  

グーグルにとってはAIデータセンターの電力需要に対応しつつ、自社の脱炭素化目標を促進する意味合いがあります。

  

政府も民間を後押ししています。米国政府は2050年までに原子力容量を3倍にする目標を掲げており、SMRの推進に向けて実証プロジェクトへの支援や燃料サプライチェーンの構築などの取り組みを進めている様子。

  

米国エネルギー省(DOE)は次世代SMR開発に最大9億ドルの支援を発表しており、SMRの開発と建設の促進のための官民の取り組みは活発化しています。

  

電力の課題、各国に迫られる対応

  

米国では、次々とIT大手が原子力エネルギーに投資しています。それに対して欧州、ドイツやイタリアでは脱原子力エネルギーの流れが加速中。原子力には日本も積極的といえる状況ではありません。

  

これからもAIの需要の高まりに応じて、電力の課題は各国で対応を迫られるところになりそうです。

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2024.11.27

米司法省がNVIDIAに強制調査、反トラスト法(独占禁止法)による提訴を視野に

今回は米半導体大手エヌビディアについて、1つ大きなニュースがありましたので紹介していきます。

  

米司法省、NVIDIAに強制調査

  

9月上旬に、米司法省がエヌビディアの強制調査に乗り出したことが明らかになりました。反トラスト法(独占禁止法)による提訴を視野に、証拠を集めるための召喚状を送ったと米ブルームバーグ通信が報じています。

  

エヌビディアはAIの開発・動作に使う半導体で1強状態。英調査会社オムディアによると、エヌビディアの2023年のデータセンター向けAI半導体のシェアは約8割に達するとのこと。この状況について他社の供給を阻む反競争的な行為があったかどうかが焦点となります。

  

エヌビディアは半導体そのものだけでなく、AI開発に最適なソフトを提供しています。半導体とソフトとを抱き合わせで使う顧客らに対し、供給面や価格設定で優遇していないかなどを同省が調べている様子です。

  

AI開発業者のスタンダード、NVIDIAの「CUDA」

  

生成AIモデルの訓練を含む大規模演算の用途では、エヌビディア製GPUに特化したソフト開発環境「CUDA」が圧倒的なシェアを持っています。同社による普及活動の結果として、CUDAを使うことが多くのソフト開発者のスタンダードになっているからです。

  

仮にエヌビディアに反競争的な行為があったとすれば当局から是正命令を受ける可能性がありますが、CUDAに慣れた開発者が多いという現状を覆すのは簡単ではありません。

  

CUDAは同社製GPUのハード仕様と密に連携しており、特定のレイヤーで標準部分と独自部分を分離するのも容易ではなさそうです。

  

競合が対抗製品を投入していますが、エヌビディアの先行優位は続いています。AI開発企業は実質的に同社の製品が不可欠となっています。

  

監視を強める司法省

  

独禁当局である司法省は米連邦取引委員会(FTC)と並び、巨大テクノロジー企業への監視を強めている様子です。司法省は米グーグルの独占をめぐる裁判で8月上旬に地裁で一審勝訴を勝ち取っています。米アップルに対しても3月に独禁法違反で提訴に踏み切っています。

 

米エヌビディア提訴への具体的な動きはこれからということになりますが、状況が明らかになり次第お伝えしていきます。

 

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2024.11.19

さくらインターネット攻めの姿勢、海外市場開拓へ

今回は、国内のGPUクラウドサービス事業をけん引してきた国内の企業、さくらインターネットの近況について紹介していきます。

  

さくらインターネットは現社長である田中邦裕氏が学生時代の1996年に起業しました。2011年には日本最大級の郊外型データセンターである石狩データセンターを構築、物理基盤サービスとクラウドサービスを強化。インターネット黎明期から顧客のニーズの変遷とともにサービスの軸足を変え、成長を遂げてきました。

  

外資系サービスとの競争と市場変化

  

日本企業のAI開発における外資系サービスへの依存については前回の記事で触れましたが、さくらインターネットも、直近の5年は外資系との熾烈な競争に巻き込まれました。

  

外資系サービスの影響は国全体としても大きく、デジタルサービスの海外への支払いで生じる「デジタル赤字」は10年前の2倍以上にあたる5.5兆円に膨らんでいるとも。国内のサービスの存在感が乏しい中、「クラウド化が進めば進むほど、日本の貿易赤字が増える」という構図に加え、昨今の円安がこの赤字に拍車をかけています。

  

しかし、さくらインターネットを取り巻く市場環境も大きく変わっていきます。

  

DXの旗頭の元、すべての企業がIT企業を標榜するようになり、コロナ禍で社会全体のデジタル化も一気に進行し、市場自体が大きく拡大。

  

また、円安による外資系クラウドの値上がり、ガバメントクラウド市場拡大の期待もあり、さくらインターネットのような国産パブリッククラウドに期待する声も高まりました。

  

こうした背景もあり、「2025年末までに機能要件を満たす」という条件付きながら、さくらインターネットは国内企業で唯一ガバメントクラウドの提供事業者としてデジタル庁から選定。

  

認定を受けた202311月以前は、AWS、マイクロソフト、グーグル、オラクルという外資系事業者のクラウドサービスのみの採択でしたが、さくらインターネットは国産事業者で初の認定となったのです。

  

アジア進出へ米エクイニクスと提携

  

さくらインターネットは更なる事業展開を進めています。

  

10月1日、クラウド事業のアジア市場進出を目指し、データセンター運営大手の米エクイニクスと提携すると発表しました。さくらインターネットがエクイニクスのデータセンターの敷地を借りて自前のサーバーを設置した上で、海外でクラウドサービスの提供を検討。同様の手法で日本のクラウドサービスも強化するとのこと。

  

エクイニクスはシンガポールやインドネシアなどでデータセンターを運営しています。さくらインターネットがサービスを提供する国や時期など詳細は今後詰めていく予定とのことです。

  

攻めの姿勢を見せるさくらインターネット

  

IT大手が高いシェアを持つアジアのクラウド市場へ。さくらインターネットはいよいよ海外市場の開拓に乗り出します。

  

攻めの姿勢を見せるさくらインターネットにますます期待が高まっています。今後の進捗状況についても引き続き紹介していきたいと思います。

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2024.10.28

AIデータセンター開発プロジェクト発表で注目の企業「ハイレゾ」

国内で積極的にAIデータセンター事業を進める企業としては、さくらインターネットの状況について、これまでもお伝えしてきました。

今回新たに、国内の企業でのデータセンター事業に動きがあったので紹介していきます。

  

日本政策投資銀行・みずほ銀行、「ハイレゾ」に投融資を発表

  

日本政策投資銀行やみずほ銀行などは、新興企業のハイレゾに総額100億円を投融資することを発表しました。日本企業はAI開発に必要な高性能の計算基盤を十分に提供できておらず、海外大手のサービスへの依存が強まっています。新興企業に対しては異例の規模となる投融資によって、国産のAI開発を後押しする形です。

  

ハイレゾはGPU専用データセンターを運営し、クラウドサービス「GPUSOROBAN」を展開する企業。香川県で生成AI向けデータセンターを開設するにあたり、20242月に株式会社ハイレゾ香川(以下ハイレゾ香川)を設立しました。

  

ハイレゾ香川は、香川県で生成AI向けデータセンターを開設するにあたって設立した特別目的会社。香川県内の既存研究施設である「RISTかがわ」や廃校となった「旧綾上中学校」の体育館を一部改装し、データセンターの開発を計画しています。

  

データセンター開発は大都市圏への一極集中が危惧されているなか、地域の既存施設を利活用することによりデータセンターの開発コストを抑え、幅広い国内事業者に対しサービスを提供することを目指すとしています。

  

またこの事業は経済産業省によるクラウドプログラムの認定を受けており、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)からの助成金約77億円も活用する予定であるとのこと。

  

ハイレゾ代表取締役志倉喜幸氏は「地方から国産の強固なインフラを築き上げ、AI産業に革命を起こす」と意欲を見せています。

  

海外大手への依存からの脱却に向けて

  

これまでGPUクラウドサービス事業に積極的に取り組む国内のデータセンター企業といえば、さくらインターネットの他に目立った動きを見せる企業はありませんでした。

今回新たな国内企業の計画発表ということで、どのような展開を見せていくのか注目が集まっています。

ハイレゾのプロジェクトが海外大手のサービスへの依存からの脱却につながる一手となるか、今後もその進捗状況を追っていきたいと思います。

また、国内の企業の取り組みとして、さくらインターネットの状況についても引き続き紹介していきます。

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2024.10.15

NVIDIA決算発表と国産半導体産業の動向について

8月末、米半導体大手NVIDIA決算の発表に世界的に注目が集まりました。同時期に日本では国産半導体産業について新たな発表がありましたので、今回はこちら2点について紹介していきます。

  

1,NVIDIA第2四半期決算発表

  

828日にAI半導体で世界を席巻しているNVIDIA57月期の決算を発表しました。売上高と最終利益がともに過去最高を記録。

  

売上高は前年同期比2.2倍の3004,000万ドル。中でも人工知能(AI)プロダクトの大半を擁するデータセンター部門の収益は、2627,200万ドルと全体の87%。

  

生成AIの登場でデータセンターの重要性は一段と高まっています。

  

生成AIが利用者からの質問に答えるには、一般的な検索にかかる電力の10倍が必要とされると言われています。またデータセンターは膨大なデータを多数のサーバーで、短時間に計算処理することで大量の電力を使います。

  

NVIDIAは年内にもAI専用GPUBlackwellブラックウェル」の量産を開始予定しています。

  

現在はその生産の遅延も報じられていますが、生成AIの速度が現行の30倍と爆速化し、電力効率25倍になるとも言われています。

  

ブラックウェルの出荷が本格的に開始となれば、データセンターへの関心はさらに高まりを見せていくことになりそうです。

  

2,国産半導体(生成AI用途)の開発、プリファードネットワークス(PFN)に期待

  

ネット金融大手のSBIホールディングスは、AIサービスを手掛けるスタートアップ、プリファード・ネットワークス(以下PFN)と資本業務提携することを発表しました。

  

PFNのAI半導体の設計ノウハウを取り込み、AI半導体の開発に共同で乗り出すとしています。

  

PFN2014年に創業した、AI技術の実用化に必要なハードウェアからソフトウェアまでを垂直統合で開発・提供するスタートアップです。AI半導体の設計・周辺ソフトウェア開発・自社AI半導体を用いたスーパーコンピュータの開発から、生成AI基盤モデルの構築、それらを応用したアプリケーションの開発までを自社で行っており、自社AI半導体を用いた計算基盤を2023年から外部ユーザにも提供しています。

  

昨今、生成AI技術の進展から世界的にAI半導体の需要が急速に高まり、供給が逼迫しています。更に今後、AI開発・利用による電力消費は継続的に増大すると見込まれ、高性能かつ低消費電力のAI半導体の開発が求められています。

  

今回の発表においてSBIグループは、PFNとの連携を通じて、次世代AI半導体の国内普及を強力にサポートし、PFNの事業拡大を推進することで、日本における半導体産業の発展に貢献ができると意欲を見せています。

  

また、PFNの次世代AI半導体の製造を行うことで、SBIグループの製造業における認知度向上や、事業予定用地である宮城県における半導体製造に向けた半導体生態系の構築による地域内での高い経済効果の創出が期待できるとのこと。これにより、SBIグループの大幅な付加価値向上と半導体産業を起点とした地方での産業創出のロールモデル確立が可能であると考えを示しています。

  

SBIグループとPFNの連携による日本の産業振興、半導体産業の活性化に向けてどのように展開していくのか、今後も動向を追っていきたいと思います。

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2024.09.25

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