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大阪を中心とした関西圏は、データセンター事業としては、アジア・パシフィック最大規模である首都圏に次いで急速に成長している市場です。企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)が進む中、地元企業だけでなく、国内外企業から幅広い需要があります。
データセンター新設ラッシュ
2019年、NTTコミュニケーションズ(NTT Com:NTTコム)が大阪府茨木市に関西地域で最大のデータセンターを開設。
2023年2月には、三菱商事とデジタル・リアルティのデータセンター合弁会社であるMCデジタル・リアルティが、大阪で新たなデータセンターを開設。
この2カ月間で、大阪エリアではアジアの不動産企業であるESR Groupが19.2MWのデータセンターの建設を開始。そして株式会社オプテージが2026年1月に開業予定の14階建てのキャリアニュートラルデータセンターの建設計画を発表しています。
関西電力、データセンター開発で米サライスワンと新会社
データセンターを開発・運用する米サイラスワンは、日本のエネルギー会社である関西電力株式会社(KEPCO)と提携し、日本国内における新規データセンター開発に取り組んでいます。
5月22日、関西電力は、サイラスワンと、日本でデータセンター事業を展開する合弁会社を設立すると発表。今後10年間で少なくとも1兆円(70億ドル)を投資し、電力消費を示す「受電容量」が1カ所あたり5万キロワット以上の「ハイパースケール」と呼ばれる大規模データセンターを関西圏や首都圏で開発・運用、夏にも活動を始める予定です。
10年後には合計の受電容量で90万キロワット以上と、ほぼ原子力発電所1基分の電力を使用する事業規模を目指します。
新会社の代表取締役は両社から派遣。関西電力グループがデータセンターへの電力供給や不動産取得などに関するノウハウ、サイラスワンはデータセンターの顧客となるIT(情報技術)企業への営業力など、両社の強みを持ち寄ります。既に1号案件の建設地は関西に確保しており早期に着工する方針です。
関西圏のデータセンター業界に注目を
関西圏のデータセンターは新設ラッシュが続き、その需要は、今後も一層高まると想定されています。関西電力のハイパースケールデータセンター運用によって、関西圏のデータセンター業界の動向に、更に注目が集まることになりそうです。
2023.06.08
デジタル技術への依存度が高まる中、データセンター業界は目覚ましい成長を遂げており、経済の不確実性が続く中でも比較的影響を受けず、強力な代替的資産クラスとして投資家や金融機関からの注目を集めています。
市場規模の拡大
Global Market Insights Inc.が発行したレポートによると、世界のクラウドデータセンター市場は、2022年に200億米ドルと推定され、2023年から2032年にかけて10%のCAGR(年平均成長率)で進行し、2032年までに700億米ドルの評価額を突破すると予測されています。
クラウドコンピューティング技術の開発を促進する取り組みが、市場拡大の主な要因になると予測。クラウドコンピューティングを活用したプロジェクトでは、自動的な問題解決、エンドツーエンドのセキュリティ管理、実際のデータ使用量に基づく予算編成など、統合的な管理が可能です。
電子行政の実践に向けたクラウドコンピューティングインフラの改善は、インドを含むいくつかの国の政府にとって優先事項となっています。また、これらの政府は、デジタル化を進めるためのスキルセットを拡充するプロジェクトを立ち上げ。
導入モデルによると、パブリッククラウドデータセンターの市場は5年に2022億米ドル以上と評価され、2032年まで収益性の高い成長が見込まれています。
目覚ましい成長、日本でも
日本の通信会社である日本電信電話(NTT)は、今後5年間で8兆円(590億ドル)をデータセンター、人工知能、その他の “成長分野” に投資する計画を発表しました。
そのうち、少なくとも1.5兆円(110億ドル)は、データセンターの拡張やアップグレードに充てるとして、AIやロボットを含むデジタルビジネスには、少なくとも3兆円(220億ドル)が投じられます。
同社は、この支出により、2028年3月期の利払い、税引き、減価償却前利益が、前年度比で20%程度上昇する見込みであると述べ、これはつまり、約4兆円(294億ドル)の利益を意味します。
島田明社長は記者会見の中で、「成長分野に投資し、キャッシュ創出力を拡大する」と述べたと日経新聞は報じています。
このような市場拡大、成長予測にもかかわらず、その一方で、重くのしかかる課題もあります。
ウクライナ戦争、労働力不足、重くのしかかる課題
サプライチェーンの制約は、パンデミックのピークから緩和されたものの、完全には解消されておらず、欧州やアジア太平洋地域の地政学的緊張のためにさらに再燃するリスクがあります。
例えば、ウクライナ戦争により、半導体製造に不可欠なネオンの供給が制限されています。この供給圧力により生産に遅れが出ています。それは、労働力の不足にも起因しており、データセンター分野では特に深刻で、そのスキル不足、人材不足についての問題が顕著になっています。
事業者は、人材を見つけるのが難しいだけでなく、人材を確保するのにも苦労しており、熾烈な労働市場の中で多くの人が同業他社に採用されていることが報告されています。
データセンターの成長を妨げるもう一つの課題は、より広範な世界経済の問題です。データセンターは、建設や買収の資金を借入金に依存しているため、今後12〜24ヶ月間に借入金残高が最も増加すると予想される資産クラスの上位3つに含まれています。金利が高騰していることから、利幅が縮小。金利がさらに上昇し、経済が不安定になれば、企業が大規模な取引を行うことが難しくなる可能性があります。
市場拡大は続く、各国の取り組みに期待
課題は多々ありながらも、データセンター業界の市場規模は拡大し続けています。課題と向き合いながら、どのように更なる拡大を進めていくのか、世界各国の取り組みに関心が高まっています。
2023.05.31
データセンターの投資及び開発の競争が激化する中で、データセンターの事業に携わるDCオペレーター、DC開発事業者及び投資家等(以下、「DC事業者等」という)は、不動産市場における他の用途との競合を極力排除しながら、データセンター事業の収益の適正化を図るために、CRE戦略を活用することが望まれます。
■CRE戦略とは
「CRE」は1960年代に米国で注目され始めた「Corporate Real Estate」の略で、直訳すれば企業用不動産という意味になります。企業が保有している不動産のことを指し、事業を行うために必要となるオフィスや工場、倉庫などの不動産のほか、保養所や社宅、福利厚生施設、遊休地などもこれにあたります。
CRE戦略とはこうした不動産を効果的に活用することで、企業価値の向上を図る中長期的な経営戦略です。
具体的なCRE戦略としては、現オフィスを見直し、余剰になったオフィスを第三者に賃貸したり、遊休地の活用として様々な用途の不動産を開発・建設することで長期安定の賃料収入を確保する、などが挙げられます。
日本国内においてCRE戦略が注目されるようになったのは、2008年に国土交通省が「CRE戦略実践のためのガイドライン」を出したことがきっかけとされています。ガイドラインでは「CRE戦略は企業用不動産について、『企業価値向上』の観点から経営戦略的視点に立って見直しを行い、不動産投資の効率性を最大限向上させていこうという考え方である」と定義しています。データは少し古くなりますが、日本のCREの規模は490兆円※とも言われ、現在の不動産価格に換算すると、さらに膨れ上がっていることが予想されます。
- 平成18年「土地基本調査」による。
■CRE戦略の過去と現在
CRE戦略が明確に認知される前においては、企業用不動産所有者は①消極的放置、②単純売却、③単純貸付(土地又は建物)のスキームしか選択しなかったような気がします。一つの要因として、企業内でバランスシート戦略が積極活用されていなかったことや、企業用不動産所有者が不動産のプロフェッショナルでないことが要因だとも考えられます。
CRE戦略が徐々に認知され、現在に至っては、不動産会社(デベロッパー等)や建設会社が積極的に企業用不動産にアプローチを仕掛け、上記①、②、③のみならず、企業価値向上という観点に基づく有効利用の提案や、共同事業の提案により、CRE戦略による事業化が多数実現しています。また、金融商品取引法の施行(2007年)により、不動産の流動化及び投資家の参入が容易になった点のも注目すべき点です。
■データセンターの投資及び開発におけるCRE戦略の役割
CRE戦略をデータセンターの投資及び開発に適用することで、DC事業者等は以下のような利点を享受できます。
- 企業用不動産所有者側の意図を把握
不動産を売却したいのか、貸し付けたいのか、自社で有効活用をしたいのか、共同事業をしたいのか等に加え、その時期についても把握することができるため、所有者との信頼関係に基づくコミュニケーションが実現します。
- 機会損失・逸失利益の回避
他用途の不動産と比べ、データセンター適地の判定は事前調査に相応の時間を必要とします。例えば、不動産オークション等に参加の場合、検討期間内に意思決定できないこともあります。また、未確認項目のリスクを甘受して不動産投資を実行してしまうケースも考えられます。一方で、CRE戦略に基づけば、関係当事者の意思決定プロセスにより、DC事業者等はデータセンターに適した物件を選定しやすくなり、投資リスクを低減することができます。
- 投資効率の最適化
データセンターの開発は土地取得資金のみならず、建物・設備に巨額な投資資金が必要となります。CRE戦略を活用することは、資金拠出のタイミングが関係当事者の協議で進められ、先行取得にかかる非効率的な投資資金の問題を回避することが可能となります。また、共同投資におけるSPC組成のスキームにおいては、資金調達方法や融資条件の慎重な検討、最適な資金調達戦略の策定が可能となります。
- 関係当事者の利害関係の一致と出口戦略
データセンターの開発においては、巨額の投資資金と、DC竣工後安定稼働に至るまでの相応の期間を必要とします。関係当事者それぞれの思惑に合致した協議を重ねることにより、CRE戦略は、開発当事者、所有及び経営の分離が実現し、最終的な出口戦略のシナリオ構築が可能となります。
以上のように、データセンターの投資及び開発におけるCRE戦略の活用は、リスクを最小限に抑えながら収益性を最大化するための有益なアプローチと考えられます。
2023.04.30
株式会社NTTデータは、同社が運営するデータセンター「NTT品川TWINS DATA棟(以下、品川データセンター)」において、ロボットを使った設備点検業務の遠隔化/自動化の取り組みを行い、従来人手で行われていた設備点検業務を約50%削減できることを確認したことを発表しました。
NTTデータは2023年4月以降、全国のデータセンター拠点へのロボット導入を進めます。
ロボット導入の背景
NTTデータでは、データセンターをはじめとしたビル管理業界では人手不足が深刻化しており、中でも設備管理業務は熟練者の不足が問題となっており、省人化や効率的な業務実施が求められていると説明。
設備管理業務の中では、点検業務が省人化による効果やデジタル技術活用による遠隔化/自動化の実現性が高いと考え、同社の品川データセンターにおいて、実用化に向けた検証を進めてきました。
ロボット導入の概要と変化するチェック業務
取り組みでは、あらかじめ設定した点検ルートをロボットが自動巡回し、メーターやランプ、設備外観の撮影、センサーによる臭気など環境データの取得を行うことで、人が行っていたメーター測定やランプ確認、外観異常・異臭チェックの業務を代替します。
この方法の場合、1つのカメラやセンサーで複数箇所の点検を行え、稼働中の現用設備に手を入れる必要もないため、点検対象ごとのIoTカメラ・センサーの設置やスマートメーター化といった他の方法と比較して、安価かつ簡易に遠隔化/自動化を実現できます。
今回用いたロボットは、業務DXロボットのメーカーであるugo株式会社と共同で、次世代型アバターロボット「ugo Pro」を設備点検業務用に改良したものです。
メーター値を詳細に撮影するため、標準モデルより高画質な4Kカメラを搭載するとともに、においセンサーやマイク、サーモカメラなど、点検項目に応じて複数のデバイスをugo本体に搭載し、用途を拡大できます。
PCのみで操作が可能で、走行ルートもノーコードで設定できるため、現場担当者も気軽にロボットを利用できます。自動走行と遠隔操縦を切り替えられ、自動で点検業務を行うだけでなく、遠隔からの作業支援など複数の用途で利用も可能です。
これらの特徴により、さまざまな点検項目に対応できるだけでなく、遠隔からの作業支援や工事の立ち合いなど用途を拡大することも可能です。
ロボットやセンサーを使って点検業務を遠隔化/自動化することで、業務時間が削減できるだけでなく、人の感覚に頼っていた異常判断のしきい値を数値化し、熟練者に頼らない異常発見を実現できます。
また、作業支援や工事の立ち合いなども含め、現地でしかできなかった業務を遠隔で実施可能にすることで、柔軟な働き方に対応し、新たな担い手の確保等の効果が期待できます。
今後について
NTTデータでは今後、メーター読み取りシステムや異常検知AIとの連携を進めることで、現在担当者による実施が必要となる記録・報告作業まで自動化範囲を拡大し、点検業務にかかる時間を最大80%削減することを目指しています。
また、ロボットやセンサーで取得したデータを活用した高度な異常検知や設備の予知保全といった、設備管理業務の高度化にも取り組んでいくとのことです。
2023年4月から、全国15のデータセンターを対象として、取り組みを順次展開していく予定。
さらに、これらにより得られた知見をもとに、2023年度中に設備点検業務の遠隔化/自動化サービスとして商用提供することを目指します。
商用提供にあたっては、ugoがNTTデータとの共同検証で得られた知見を生かして開発した新型ロボット「ugo mini」を活用した設備管理業務の遠隔化/自動化ソリューションの開発を行い、導入のコンサルティングからシステム構築・運用までワンストップで、顧客の課題解決をサポートしていきます。
深刻化する人手不足の解消に向けて、データセンターの設備点検業務ロボットの本格展開の日が待たれます。
2023.03.26
京セラコミュニケーションシステム株式会社(以下、KCCS)は24日、北海道石狩市で計画する「ゼロエミッション・データセンター」について、2022年12月にデータセンター建設に着工し、2024年秋に開業を予定すると発表しました。
KCCSでは2019年に、北海道石狩市において、再生可能エネルギー100%で運営するゼロエミッション・データセンターの計画を発表。
その後、当初予定していたベースロード電源の計画変更により、電源構成およびデータセンター設計を見直していましたが、今回、建設着手と開業予定を発表しました。
建設するデータセンターは、北海道石狩市の石狩湾新港地域に位置し、敷地面積は約1万5000㎡、延床面積は約5300㎡(開設時)、ラック数は400ラック規模(開設時)。
2050年カーボンニュートラル実現に向けて
国内では2050年カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量実質ゼロ)の達成に向けた再エネの地産地消や、政府が推進する「デジタル田園都市国家構想」におけるデータセンターの地方分散が重要なテーマとなっており、非化石証書等の環境価値の購入により環境負荷をプラスマイナスゼロにする「実質再エネ」の導入が進んでいます。
そのために、再エネ導入量のさらなる拡大に向けて、「再エネの直接利用」の拡大も必要とされます。
しかし、データセンター等の大規模な需要施設においては安定した再エネ電力と経済性の確保が課題となっており、「再エネの直接利用」の実現は容易ではありません。
石狩市は、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、環境省の公募事業「脱炭素先行地域(第1回)」に選定されています。
また、ゼロ・カーボンに向けた施策「再エネの地産地活・脱炭素で地域をリデザイン」を策定し、石狩湾新港地域にデータセンター群および周辺施設へ再エネを供給することで、脱炭素型の産業集積を目指しています。
ゼロエミッション・データセンターでは、地域の豊富な再エネ電源を活用するとともに、KCCSの所有の太陽光発電所をデータセンターの近隣に新設し、それらの再エネ電源を直接利用することになります。
また、複数の再エネを「信頼性」「環境性」「経済性」を同時に確保しながらデータセンターを運営するために、蓄電池とAI技術を活用した電力需給制御の仕組みを独自に構築します。
KCCSでは、石狩市における「再生可能エネルギー100%で運営するデータセンター事業」を通じて、再エネの地産地消の可能性を実証するとともに、国内でのデータ分散保管や、データセンター技術者・エネルギー関連技術者などの雇用創出による地域活性化への貢献を目指すとしています。
2050年カーボンニュートラル実現に向けて「ゼロエミッション・データセンター」の開業に、期待が高まっています。
2023.03.11
ウォーター・ポジティブとは
ウォーター・ポジティブとは、消費する水よりも多くの水を供給することを指します。世界中で淡水不足が課題となっている中、企業などが水を確保するために様々な取り組みを行っています。
方法は主に2通りで、消費を減らすか供給を増やすかのどちらかです。
水の消費を減らすためには、節水や再生利用、水の供給を増やすには、水不足や水の汚染など、水ストレスが高い地域や事業への投資などの方法があります。
データセンターにおける水使用量の削減に取り組むAWS
Amazon Web Services(AWS)は、自らの事業をウォーター・ポジティブにすることを表明した新たなハイパースケーラーとなりました。
ラスベガスで開催されたイベント「AWS re:Invent」で、同社は2030年までにウォーター・ポジティブを実現し、直接業務で使用する以上の水を地域社会に還元するという方針を示しています。
AWSのCEOであるAdam Selipsky氏は次のように述べています。
「水不足は世界中で大きな問題となっており、本日のウォーター・ポジティブの発表により、私たちはこの急速に広がる問題の解決に向け、自らの役割を果たすことを約束します。
すべての人が水を使えるようにするためには、この貴重な資源を節約し、再利用するための新たな方法を開発する必要があります。私たちは、これまでの歩みを誇りに思う一方で、もっとできることがあるとも思っています。
私たちは、クラウド事業におけるウォーター・スチュワードシップをリードし、私たちが事業を展開するコミュニティで使用した以上の水を還元することを約束します。これが環境とお客様にとって正しい行動であることを私たちは確信しています。」
この目標を達成するための同社の取り組みとしては、水の使用量をリアルタイムで分析し、IoT技術を用いて漏水を特定して修正する、冷却にリサイクル水や雨水を利用する水を複数回再利用できるオンサイト水処理システムを含む、さらに可能な限り施設での水なし冷却や様々な水の補充活動に資金提供するなど、還元だけでなく補充活動も含まれます。
2021年、AWSは世界の水使用効率(WUE)指標である1kWhあたり0.25Lの水を達成したと述べています。アイルランドやスウェーデンでは、AWSは1年のうち95%、データセンターの冷却に水を使用していないとのことです。
なお、米国エネルギー省のレポートによると、平均的な蒸発冷却式データセンターのWUEは、1kWhあたり1.8Lであるとされています。
英国では、AWSはThe Rivers Trust社およびAction for the River Kennet社と共同で、テムズ川の支流に2つの湿地帯を作ることに取り組んでいます。
「イングランドの河川は国の宝であり、AWSと提携し、この地のメンバートラストと協力してテムズ川とその支流を保護できることを嬉しく思います」と、The Rivers TrustのCEOであるMark Lloyd氏は述べています。
「2030年までにウォーター・ポジティブになるというAWSのコミットメントは、気候変動の影響を受けた河川や水資源の回復を支援するために必要な行動を後押しするものです。
私たちは、AWSとの関係を拡大し、このパートナーシップを利用して、他の企業が河川の回復力を向上させる水管理活動を共同で支援できる同様の道を示すことを楽しみにしています。」
データセンターは冷却のために大量の水を使用しますが、業界が実際に使用する水の量は明確ではありません。
研究者らは、米国の平均で、データセンターのエネルギー消費1MWhは7.1㎥の水を必要とすると推定していますが、これは地域や施設によって大きく異なる可能性があります。
Google、Microsoft、Metaの取り組み
Google、Meta、Microsoftは、2030年までのウォーター・ポジティブを公約していますが、彼らの施設の多くは現在、1日あたり数百万ガロンもの水を使用しています。
北米、ヨーロッパ、南米に40を超えるキャリアニュートラルデータセンターを所有および運営しており、コロケーションおよびピアリングサービスを提供しているCyrusOneは、自社のいくつかの施設がウォーター・ポジティブであると主張しています。
世界中の投資家による責任投資戦略の開発と実践をサポートしてきたESG調査・レーティング・データ提供のリーディングカンパニーMorningstar Sustainalyticsは以前、マイクロソフトが節水への取り組みで市場をリードしている、という報告書を公開しました。
ヨーロッパのデータセンター事業者らは今年、欧州委員会に対し、2040年までに水の使用量をコンピュータの電力1kWhあたり最大400mlに削減することを表明しました。
地球温暖化や人口増加の影響により、世界中で水不足が問題視されはじめています。大手企業のウォーター・ポジティブに向けた取り組みに今後も目が離せません。
2023.03.01