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2022.09.05
今回はカーボンニュートラルなDCの実現の観点から考察してみたいと思います。
DCはサーバーやネットワーク機器類などを安全かつ安心して格納することを目的として作られる施設(不動産)です。サーバーは大量の電力消費が必要な機器です。よって、DCでは大量の電力が消費されます。加えて、サーバーは大量の熱を発生するため、サーバーを正常に稼働させるためにはDC内を一定温度に管理する必要があります。つまりDCはサーバーのみならず、空調機器も大量に電力を消費する、カーボンニュートラルの観点から、大変厄介な施設と言えます。
大雑把なデータですが、日本国内電力消費の約1.4%(2018年)をDCが消費していると言われており、2030年には2018年比6倍以上になるとの分析もあります。※
世界におけるデジタルインフラ分野の成長加速は不可欠で、その中でDCは重要な位置付けになる一方、CO2排出の観点で悪役にもなり兼ねません。
DCとカーボンニュートラルの両立は、はたして成しえることが可能でしょうか。
DCの電力消費をみる一つの指標としてPUE(Power Usage Effectiveness=DC全体の消費電力/IT機器の消費電力)があります。1.0に近ければ近いほど、IT機器以外の消費電力が少なく、効率的なDCということになります。
一昔前のDCのPUEは2.0前後であると言われていましたが、最近竣工しているDCのスペックを見ると、PUE=1.4程度のものが主流となっているようです。また、これから着手するDCにおいては、PUEが1.2を下回る設計値を謳っているものも目立ち始めました。
このようにPUE値が下がり、1.0に近づいている要因は、①空調機器等の性能の向上、②サーバールームの効率的冷却を実現するための設計レベルの向上です。ただ、PUE値を押し下げるにはもっと重要な点があります。それはDCが立地する自然的条件です。
サーバールームは一般的に室温を20℃〜27℃に保っておく必要があるため、空調機器類が最も電力を消費するのは真夏で、且つ昼間の外気温が高温になる時間帯です。DCの立地が寒冷地であれば、大都市と比べ空調効率も良く、更に日中夜の寒暖差が大きいところでは、夜は外気を活用した冷却も可能となります。つまり寒冷地等の地方の立地では、空調機器を極力利用せずにサーバールームの室温を管理することが可能となり、空調機器を使用しない分、PUE値改善に大きく貢献することとなります。
このように、DCを開発する事業者等はCO2削減、カーボンニュートラル社会に向けて鋭意努力していますが、DCは大量の電力消費が不可欠であることは変わりません。
次回のブログ(その2)では、カーボンニュートラルを目指したDCの再生可能エネルギー活用の取組みにつきご紹介したいと思います。
(文責)小杉 雅芳
- 総合資源エネルギー調査会(経済産業省:令和4年3月)
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