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2025.08.26
首都圏におけるデータセンター集積地として長らく注目を集めてきた千葉県印西市は、豊富な土地と都心からのアクセスの良さを背景に、大手事業者の進出が相次いできました。しかし近年は、電力供給の制約が顕著となり、新規立地にとって大きな課題となっています。さらに現市長がデータセンター誘致に積極的な姿勢を示していないこともあり、かつてのような最有力候補地とは言い難い状況にあります。このため、業界内では“ポスト印西”を模索する動きが広がっています。
相模原市が打ち出す積極戦略
その候補地として存在感を高めつつあるのが神奈川県相模原市です。同市はリニア中央新幹線の開業により橋本エリアが注目され、過去にはデータセンターが誘致された実績を持ちます。現在も市として立地促進に強い意欲を示しており、令和7年6月定例会での代表質問に対して市側は「データセンター立地には安定的な電力供給体制が不可欠」と強調。東京電力パワーグリッドと連携し、高圧受電設備の整備や供給ルートの強化について協議を進めていることを明らかにしました。さらに再生可能エネルギーの活用可能性についても検討を行い、持続可能な都市インフラを構築する姿勢を示しています。
誘致の有力候補地とされる麻溝台・新磯野の「A and A地区」は、厚木基地に近接するという制約がある一方で、東京からの距離の近さという大きな利点を備えています。物流施設の開発を手掛けるグッドマンなど有力企業が関心を寄せているとの情報もあり、市場からの注目度は高まっています。
電力確保と今後の展望
もっとも、相模原市が十分な電力余力を確保できるかどうかについては、なお不透明な部分が残っています。過去に橋本エリアでの誘致後、電力枯渇が課題となった経緯もあり、事業者は慎重な見極めを迫られることになるでしょう。ただ、市が早期から電力事業者と協議を進めている点や、再エネ活用を重視する姿勢は、長期的な安心材料といえます。
生成AIやクラウドの利用拡大を背景に、国内のデータセンター需要は急速に拡大しています。印西における受け入れ余力の限界を背景に、相模原市への関心が高まっている現状は、産業構造の転換を象徴する動きといえます。今後、電力供給体制や周辺インフラの整備がどこまで進むかによって、相模原が「ポスト印西」としての地位を確立できるかが決まることになりそうです。
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