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2024.06.12

NVIDIAの決算好調、その背景を探る

米半導体大手NDIVIAの時価総額が5日、初めて3兆ドル(約468兆円)を突破しました。

 

NDIVIAの時価総額は今年2月に初めて2兆ドルの大台を突破。生成AI向け半導体が支えとなり同社の業績は急拡大しています。米株式市場のけん引役として存在感を高めており、2兆ドル突破からわずか3カ月余りでの3兆ドル超えとなりました。

 

AIを含むデータセンター向けの売り上げが業績を押し上げており、5月に発表した2024年2~4月期決算は、純利益が前年同期の約7・3倍の148億8100万ドル、売上高は約3・6倍の260億4400万ドルに膨らみました。

 

強いNDIVIA、その背景

 

NDIVIAが製造しているのはGPU(画像処理半導体)です。GPUは動画・画像・アニメーション表示などのディスプレー機能のために設計されたチップで、ゲーミングPCなどで映像をなめらかに表示するために用いられてきました。

 

今、このGPUの需要が拡大しています。その起爆剤となっているのが、「データセンター」とChatGPTに代表される「生成AI」。

 

これまでデータセンターにはCPU(Central Processing Unit)のみ搭載するケースが一般的でしたが、AIの普及によってCPUと併せて、GPUもデータセンターに搭載する流れが進行。ただデータセンターの中でGPUが搭載されているものは全体の1〜2割程度でした。

 

それが、生成AIの普及によって事情が変わります。

 

画像生成や自然言語生成などの生成AIでは、学習によって作り上げたAIモデルを動かして結論を得る「推論」というプロセスが必要になります。ChatGPTに質問をした際、答えが返ってくるのは「推論」の結果です。推論プロセスでは、学習プロセスよりも多くの計算が必要になります。そのため、大量の計算に適したGPUも併せて搭載する必要があるのです。

 

今後、世界のほとんどのデータセンターで情報を生成する主要な作業が生成AIになることは明らかで、また10年間で、世界のほとんどのデータセンターにGPUが搭載されることになると言われています。

 

AI開発業者のスタンダードNDIVIAの「CUDA」

 

GPUは、CPUとは異なり、大量の計算を同時に並列して行うことが得意ですが、その能力を引き出すためには、GPU向けの開発環境が必要です。

 

NDIVIAが開発した「CUDA」はそんな「GPU向けの開発環境の一つ」ですが、ニューラルネットの研究者たちの間で、CUDAが実質的なスタンダードになってしまったため、その上にライブラリも数多く作られ、今や、少なくとも学習プロセスに関して言えば、「CUDAを使う以外の選択肢はほぼない」状況になっているのです。

 

CUDAは、NDIVIAが自社製のGPUの上に作った開発環境であるため、結果として「ニューロンの学習プロセスにおいては、NVIDIAを使う」ことがスタンダードになってしまったということです。

 

CUDAはライバルが到底乗り越えられない競争上の「掘」としてNVIDIAを守っています。

 

当面はNVIDIAほぼ独占状態か

 

英調査会社オムディアによると、NVIDIAはデータセンター向けAI半導体の世界市場で77%(2023年)のシェアを持つとのこと。同社の先端のGPUはAIの開発を手掛ける企業の間で奪い合いになっています。

 

当面はデータセンター向けのGPU市場はNVIDIAのほぼ独占状態が予測されますが、GPUを扱う他の企業の動きにも注目していきたいと思います。

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