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2025.10.28
世界のデジタルインフラ市場は、AIブームとクラウド需要の高まりを受けて急速に拡大しています。特にアジア太平洋地域では、データセンター(DC)関連の大型取引が相次ぎ、2025年9月だけで総額8,000億円を超える案件が成立しました。米アマゾンやグーグル、メタなどの米テック大手が次々と投資を進めるなか、AIおよびクラウド基盤を担うインフラの重要性は一段と高まっています。
オラクル、44兆円規模のAIクラウド契約で攻勢強化
米オラクルが発表した最新の取り組みは、業界関係者の大きな注目を集めています。同社は2025年9月、米オープンAIとの間で約44兆円(3000億ドル)規模のクラウド供給契約を締結しました。期間は5年間にわたり、オープンAIが開発・運用する生成AIの膨大な学習・推論処理を、オラクルのクラウド基盤が支える形となります。
両社はすでに米国内で4.5ギガワット相当の電力容量を持つDC開発を進めており、ソフトバンクグループなどが参画する「スターゲート計画」の一翼を担っています。
オラクルはAI需要の急拡大を受け、データセンター投資を急ピッチで拡大しています。2025年6〜8月期には契約残高が前期比3.3倍の4,550億ドルに達し、「3つの主要顧客と数十億ドル規模の契約を複数締結した」と発表しました。さらに、米J.P.モルガンと三菱UFJフィナンシャル・グループが主導する約5兆6,400億円のデータセンター融資パッケージが動き出し、ウィスコンシン州とテキサス州での大規模施設建設が進む見通しです。これらの拠点では、オープンAI向けの運用が想定されており、オラクルのAIインフラ戦略の中核を担うとみられます。
アジア市場でも拡大、AI社会を支える新たなインフラ競争へ
一方で、アジア市場でもメガクラウドベンダーの攻勢が続いています。ベイン・キャピタルが保有していた中国のデータセンターポートフォリオが約5,880億円で売却され、シンガポール政府系ファンドGICやアブダビ投資庁がマレーシアのヴァンテージ・データ・センターズに計2,300億円超を出資しました。
アジア全体では、アマゾンやグーグルをはじめとする米大手が年間23兆円規模のデータセンター投資を行っており、AI・クラウドの成長を支えるインフラ基盤の確立が競争の焦点となっています。
今後、データセンターは単なるサーバー拠点ではなく、「AI社会を支える新しい社会インフラ」としての役割を強めていくと考えられます。電力効率化や再生可能エネルギーの導入を進める企業が、持続可能な成長の鍵を握るでしょう。AI・クラウド時代を支える基盤づくりにおいて、オラクルをはじめとするグローバルプレイヤーの動向からは、今後も目が離せません。
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