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2024.08.28
前回の記事では、政府がデータセンターなどを建設する際、脱炭素の度合いが高い案件を法人税優遇や補助金支給の対象とする仕組み検討について紹介していきました。
今回は、既に脱炭素化に向けたデータセンターの集積地として動き出している北海道石狩市の動向を紹介していきます。
石狩市、脱炭素型に向けたデータセンター事業化の動向
石狩市は、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、環境省の公募事業「脱炭素先行地域(第1回)」に選定されています。
また、ゼロ・カーボンに向けた施策「再エネの地産地活・脱炭素で地域をリデザイン」を策定し、石狩湾新港地域にデータセンター群および周辺施設へ再生エネルギー(以下「再エネ」)を供給することで、脱炭素型の産業集積を目指してきました。
2022年11月に、株式会社Flower Communications、北海道電力株式会社、東急不動産株式会社は、石狩市において、再エネ100%で運用するデータセンターの事業化に向けて、基本合意書を締結。
Flower Communicationsが設立した合同会社石狩再エネデータセンター第1号(以下「ISRD」)を開発・運営主体として、2026年の開業を予定しています。
更に2023年5月には、株式会社ブロードバンドタワーとISRDで、その2026年開業予定の再エネデータセンターの事業化が締結。
ブロードバンドタワーは、データセンター専業事業者として事業に参画し、再エネデータセンターの区画内でデータセンターサービスを提供することで事業の一翼を担うとしています。
ブロードバンドタワーとFlower Communications、北海道電力、東急不動産がともに加盟する「北海道ニュートピアデータセンター研究会」では、北海道の地理的な位置や北極海海底ケーブル敷設計画の活発化に伴う我が国の海底ケーブルトポロジーに対する北海道の役割、北海道をデータセンターの集約地とすることの重要性についての議論が積極的に行われてきたそうです。
今回の事業は、それら議論が生み出した一つの結実であるとして、ブロードバンドタワーとISRDは、国および地元自治体の施策とも呼応し、地元企業などとも連携し、データセンターのグリーン化、地方分散化など、データセンターに関する様々な課題の解決に取り組むと意欲を見せています。
ISRDおよびこの事業は、令和3年度補正予算「データセンター、海底ケーブル等の地方分散によるデジタルインフラ強靱化事業」に係る基金設置法人による間接補助事業者として採択されており、石狩市におけるデータセンターの設置等について国からの支援が予定されています。
産業集積、地域経済の発展に期待
このような国や自治体の施策の後押しを受け、事業予定地である石狩市の再エネデータセンターパークにおいては、再エネを活用したデータセンターおよび関連産業の集積化が進むことが見込まれます。
それに加えて政府の脱炭素化に向けた補助金支給等が本格的になれば、石狩市はどのような展開を見せていくのでしょうか。地域のデータセンターおよび関連産業の集積地としての振興の飛躍、さらなるデータセンター事業の成長に期待が高まります。
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