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2022.11.01
前回は、資産や負債をバランスシートに計上しない、バランスシートをスリム化する「オフバランス化」が注目される理由について、ご紹介させていただきました。
様々なメリットがあるオフバランス化ですが、今回はオフバランス化の問題点について、いくつかの要点を列挙してみます。
問題点1:トータルコストの上昇
オフバランス化のために資産を売却し、サービス利用に切り替えることで、トータルコストが上昇するケースがあります。
例えば、自社で保有するサーバー機の購入費用が200 万円で、平均6年間サーバーを使用していたとした場合に、同等スペックのクラウドサービスを月額3万円で6年間使用すると216万円となり、トータルコストが上昇します。
もちろん、サーバー機が6年より早く壊れてしまう可能性もありますし、サーバー機をメンテナンスする人員の確保に人件費がかかり、実際のトータルコストは購入費の200万円より高かったというケースもあると思います。結果としてオフバランス化しない方がトータルコストを安く済ませるケースが存在する為、サービス利用等を開始する際には慎重な判断が必要となります。
問題点2:資産価値上昇による機会損失
資産の保有は、資産を失うリスクを伴いますが、資産は価値上昇により利益を生む場合があります。
例えば国土交通省が毎月発表している不動産価格推移によると、マンション価格は2010年から12年で約1.8倍まで上昇しています。
2010年頃にマンションを売却した人の中には、“あの時売らずにもう少し保有しておけば良かった”と後悔している方も少なくないかもしれません。
保有資産の売却・処分のタイミングは、様々な要素を考慮しながら慎重に判断する必要があると思います。
問題点3:手数料がかかるケース
バランスシートをスリム化する手段の1つとして、ファクタリングサービスがあります。売掛債権を期日前に債権譲渡するものですが、ファクタリングサービスの手数料は10~20%ともいわれ、例えば1000万円の売掛金が、800万円に減ってしまうようなことが起こり得ます。
売掛金をすぐに・確実に回収できることはメリットも大きいですが、例えば資金繰りの改善が目的であれば、銀行融資を受けた方が良かったというケースも存在するでしょう。
ファクタリングを含め、オフバランス化のコンサルティングを受ける際は、その手数料についてもしっかりと確認をすることが重要です。
以上、オフバランス化の問題点にも目を向けていただくことで、より安心してオフバランス化を実施していただけるのではないかと思います。
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