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News & Topics ワットビット連携が切り拓く地方創生の新地平、技術と制度の両輪で進むエネルギー・デジタル融合
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2025.06.24

ワットビット連携が切り拓く地方創生の新地平、技術と制度の両輪で進むエネルギー・デジタル融合

政府は今、エネルギーとデジタルの融合「ワットビット連携」の重要性を明確に打ち出しています。2024年の骨太の方針でも、ワット(電力)とビット(デジタルデータ)を一体的に活用し、地域課題の解決と経済成長を同時に実現する仕組みとして、この連携を中核に据える方針が示されました。

 

その推進役として期待されているのが、次世代分散型ICT基盤「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」です。IOWNは、ネットワークの自律分散性を活かし、エッジ側での処理能力を向上させることで、大量の電力消費やデータ処理を特定の都市部データセンターに集中させず、地方にも分散できる構造を持ちます。これにより、都市部一極集中の限界を超え、地域社会にデジタルインフラを根付かせることが可能となります。

 

「地方でこそ活きる」ワットビット構想と電力供給の合理性

  

ワットビット連携の本質は、「地方のための構想」です。東京や大阪などの都市圏で行うべき施策ではありません。人口減少や老朽化インフラといった地域特有の課題にこそ、このエネルギー×デジタルのアプローチが生きるということです。今やネットワーク技術は、光回線や5G/ローカル5G、さらには衛星インターネットなどの発展によって、地理的なハンディを大きく解消しています。地方でも高度なデジタル処理を行える環境が整いつつあるのです。

  

また、電力供給の観点からも、分散配置されたデータ処理施設の方が、電力会社にとっても需給調整や再エネ導入の柔軟性を高めるという利点があります。特に太陽光や風力といった再生可能エネルギーを活用した「地産地消型デジタル基盤」は、災害対応力や自治体のレジリエンス向上にもつながります。

  

GAFAMは乗ってくるか? 分散型インフラの次なる課題

  

ただし、課題がないわけではありません。大量のデータを扱うGAFAMなどのグローバルIT企業が、地方分散型のインフラを選好するかどうかは依然として未知数。エッジ分散や中小規模施設に対する信頼性、セキュリティ、コストパフォーマンスなど、多くの評価軸が存在します。彼らが納得する運用モデルを構築できるかどうかが、ワットビット連携の全国展開を左右する要となるでしょう。

  

今後は、国の制度設計や支援策に加え、地方自治体や企業、電力会社、通信事業者など多様なプレイヤーが連携し、持続可能かつ実用的なモデルを構築していくことが求められます。ワットビット連携は単なるテクノロジーの話ではなく、「地域の未来」をどう設計するかという国家的プロジェクトということです。

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