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2026.02.26
近年、生成AIやクラウドサービスの急速な普及を背景に、国内データセンター需要は拡大基調にあります。国内のデータセンターが必要とするIT機器向けの電力容量は、2024年末の約2,365MVAから2029年末には約4,499MVAへと、年平均約13.7%のペースで増加すると予測されており、電力とデジタルインフラの両面での整備が急がれています。
こうした潮流の中で注目されているのが、「ワット・ビット連携」と呼ばれる取り組みです。これは電力(Watt)と通信・データ(Bit)の最適な連携を目指す官民協調の枠組みで、経済産業省や総務省もその推進組織を設立しています。電力インフラとデータセンターの需要の同時増加を踏まえ、両分野の連携が国策レベルで進められているのが特徴です。
ワット・ビット連携が示す“インフラの一体化”
「ワット・ビット連携官民懇談会」の設立は、電力と通信インフラを組み合わせた戦略的なデジタルインフラ整備の必要性を示すものです。電力会社と通信・IT企業が協調することで、データセンターの安定稼働に必要な電源・通信・冷却インフラをバランスよく設計・運用することが期待されています。
海外や国内電力網の条件を見据え、エネルギーの需給バランスやピーク時の最適運用を実現する研究や実証も進んでおり、電力側とデータセンター側の技術的な融合に向けた動きが活発化しています。
電力会社の動き─模索と実装
このような環境下で、電力会社自身がデータセンター事業を模索する動きも鮮明になっています。例えば、東北電力では、GPUクラウドサービスの提供を開始し、高性能GPUを搭載したクラウド基盤をコンテナ型データセンターで展開するサービスを動かしています。
さらに、同社と他社がコンテナ型データセンター新設に向けた覚書を締結し、遊休地を活用したGPUサーバーハウジングサービスなどの提供を計画していることも明らかになりました。これらは「電力会社として電力を供給するだけでなく、データセンターの提供・運営という価値創造に踏み込む一例」と捉えられます。
また、他の電力会社や関連企業との協業により、電力とデータセンターを一体的に提供するビジネスモデルの検討が進んでいるとの情報も出ています。国内ではAIロードの急増とそれに伴う電力量の確保が課題となる中、電力会社が単なる供給者ではなく、デジタルインフラ全体の共同体として機能する可能性が浮上しています。
一方で、東京電力ホールディングスは、データセンター事業への直接的な参入を現時点で否定する立場を公式発表資料で示しています(2025年末付)。その理由として、規制・業務範囲の観点から電力供給事業との整合性を重視している点が挙げられています。
※参考資料:2025年12月の東京電力ホールディングス公式プレスより
「供給者」から「共創プラットフォーム」へ
全体としては、電力会社が完全に自社でデータセンター事業を横断的に展開するというよりも、連携や協業を通じた新たな価値創造の模索段階にあると言えます。電力インフラの確保とデータセンターの需要増加が同時進行する状況下で、電力や電源技術、立地・環境の強みを持つ事業者が、データセンター事業者や通信企業と共創プラットフォームとして役割を担うケースが増えています。
今後は、エネルギーとデータインフラの連携が進むなかで、電力会社がどのような事業モデルを構築し、データセンター市場の成長にどうコミットしていくかが、次のビジネス動向を左右する重要なポイントとなるでしょう。
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